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30代から急増する女性の「がん」。そのとき「お金」の問題は?

乳がん、子宮がんなど女性特有のがんが、30代から急増することをご存じでしょうか? とはいえ、わが身に何かがあるとは思いにくいもの。そこで、乳がんを克服し、現在“サバイバー”としてがん全般についての啓蒙活動を行っているモデルの藤森香衣さんと、ネット生保の先駆けとして業界に革命を起こしてきたライフネット生命・岩瀬大輔社長に、「女性の病気とお金」についてのお話を伺いました。 ※サバイバー …がんと診断され、治療中、あるいは治療後の人を「がん(キャンサー)サバイバー」(がん体験者)と言う。

ある日突然、誰にでも、病気はやってくる

藤森香衣

藤森さん

――藤森さんが乳がんで、右乳房全摘手術をされたのは、2013年4月ですよね。まずは、病気だとわかってから手術までの経緯を教えてください。 藤森: 実は私、2010年の冬に、友達を乳がんで亡くしているんです。彼女は26歳で、その若さでがんで亡くなってしまうなんてと驚いたのですが、闘病中の彼女から「検診を受けてね」って言われてたんです。その言葉がずっと胸にあって、翌年の夏頃、右脇に小さなしこりのようなものを見つけて。何かおかしいなと思い、病院に行ったのが最初でした。 岩瀬: お友達の「検診を受けてね」という言葉があって、病院に行ったら、がんが見つかった、わけですね。 藤森: でも実は、そのとき検診では、「なんでもない」という診断だったんです。その後、やっぱり気になるので、しばらく経って別の病院で再度検査をして、細胞検査の結果、「0期の非浸潤がん」と告知されたんです。 ※0期の非浸潤がん……がん細胞が乳管や小葉内に留まっているもの。遠隔転移の可能性はない早期のがん ――0期ではあったものの、同じ右側の乳房に石灰化しているしこりが発見されたため、2013年4月に全摘手術をし、乳房の同時再建も行ったわけですね。 ※乳房の同時再建……乳がんで失った乳房を形成外科手術で取り戻すのが再建で、自分自身の体の一部を移植する自家再建と人工乳房を使うインプラントによる再建がある。がん摘出手術と同時に行うのを同時再建という 藤森: 再建手術については、がんとわかった時点では、私が希望していた外国製インプラントでの再建は国民健康保険の適用外でした。でも、数か月後に認められるという見通しがあったので、手術日程を後ろ倒しにして、保険診療内で再建ができました。

藤森さんの自己負担60万円、個室代が痛かった

岩瀬大輔

岩瀬さん

岩瀬 差し支えなければ、入院から手術にかけてどれくらいの出費があったのか伺えますか? 藤森: 私はセカンドオピニオン、サードオピニオンを取ったので、その都度の検査費ですね。あとは個室代です。大部屋がイヤというのではなく、私はお友達の闘病を見てきたので、周りの皆さんの病気の程度や進行具合がわかってしまうんです。自分の病気に加えて、人の痛みまで背負えない……と思って個室を希望したんです。それも含めて総額60万円ほどでしたが、医療保険ですべてまかなえました。 ※公的健康保険が適用される治療は「高額療養費制度」で自己負担の上限が決まっているので、実は意外と出費が少ない。たとえば月100万円かかっても、自分で払うのは月9万円ほど(一般的な所得の場合)。ところが、公的保険が適用されない「個室代」「入院中の食事代」「先進医療」などは全額自己負担となる。 岩瀬: 保険に入られたのは、ずいぶん前だったんですか? 藤森: 御社の保険ではないのですが、実は、告知を受けた年だったんです(笑)。 岩瀬: それは、すごい! 藤森: 友達は「検査に行ってね」という言葉の後に、「保険に入ってね」とも言ってたんです。彼女は旦那さまと2歳になる子供がいたのですが、「保険のおかげで家族に治療費の負担を残さなくてすんだ」と。それを聞いていたので、「なんでもない」という最初の検査情報をもって、今こそ保険に入るべきだ!って、何か直感のように思ったんです。 主ながんの年齢ごとの総患者数岩瀬: 正解だと思いますよ。20~30代、特に独身の方の保険に対する意識というのは、やはり薄いんです。結婚やお子さんが産まれるタイミングで考える方は多いのですが、晩婚化もあって保険に入っていない方も多い。でも、若くして病気になられている方、亡くなっている方は、一般にイメージされる以上にいらっしゃいますからね。 藤森: そうなんですよね。身近な人ががんになったりしない限り、「自分には関係ない」と思ってしまう。「がんになるような食生活だったの?」というようなことを言われることもありますが、それも「私は違う」と信じたいのかなって。でも、どんな病気だって、誰がなっても不思議ではないんですよね。 岩瀬: 病気ってわざわざ周りの人には言わないので、見えてこないというのもあるんでしょうね。我々保険会社は保険加入の際に過去の病歴を伺うわけですが、結構、みなさん、病気を経験されてらっしゃいます。 藤森: 特に、女性特有の病気は内緒にしがちですよね。私が公表してから、「実は私もね」って、打ち明けてくれたお友達が2人いました。 ⇒中編「どんなポイントで保険を選ぶべき?」に続く
http://joshi-spa.jp/104451
<TEXT/鈴木靖子 PHOTO/山田耕司>
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