謎の不調はパンやパスタの食べすぎかも。グルテンフリーが注目されるわけ
おうち時間が増えて、食事は自炊という人が増えていますが、せっかくなら健康にも美容にもよい食材を選びたいですよね。
ヴィーガン、マクロビ、ローフードといった最先端の食のスタイルのなかでも、今、きちんと踏まえておきたいのが「グルテンフリー」。
健康意識の高いセレブたちがいち早く実践したころで注目され、今ではグルテンフリー食品も増えてきました。
グルテンフリーとは「グルテン」を摂らない食生活のこと。グルテンは、小麦粉から生成されるタンパク質なのですが、最近の研究で、グルテンが腸内環境を悪化させていることが明らかになってきたというのです。
グルテンについては、免疫系の疾患や小麦アレルギーのある人以外は気にしなくていい、という医師もいて、評価は定まっていないようです。一方で、特に女性の食生活がパン、パスタ、ピザ、クッキーなど小麦まみれで心配になってくるのも事実。
そこで、グルテン危険説に立ちグルテンフリー外来を開設している本間良子医師(スクエアクリニック院長)に、話を聞きました。その著書『長生きしたけりゃ小麦は食べるな』(アスコム刊)にも、最新の研究と長年の知見にもとづいた解説や具体的なアドバイスが載っています。
この本をもとに「グルテンが腸内にどんな影響を及ぼすのか」「どうすれば腸内環境を整えられるのか」を本間先生に教えてもらいました。
本間医師によると、小麦のタンパク質「グルテン」を構成するタンパク質「グリアジン」は、分解されにくいため排出されず、いつまでも腸の中にとどまります。栄養として吸収されることもありません。そればかりかグリアジンは「くさび」のように腸の粘膜に入り込み、腸壁の細胞が傷つくと、粘膜が炎症を起こしてしまう…と本間医師は指摘します。
さらに、粘膜の炎症によって、細胞と細胞のあいだに隙間ができます。このとき、「ゾヌリン」という物質が、細胞と細胞のあいだをひらく働きをします。ゾヌリンはグリアジンによって分泌され、本来は栄養素の吸収をよくする重要な働きをする物質です。
「ところが、小麦を食べるとゾヌリンが大量に分泌されてしまい、細胞と細胞のあいだが開きっぱなしになります。そして、ゾヌリンは血管を通じて体じゅうに広がっていき、体内のありとあらゆる場所で、細胞と細胞のつながりを開きやすくしてしまうのです。
そもそも腸の粘膜は、細菌や毒素が漏れ出ないように細胞と細胞のあいだはしっかりと閉じられています。ところが、小麦を毎日食べていると、腸壁が炎症を起こし、隙間ができてしまう。これを『腸もれ』(リーキーガット)といいます」
小麦を食べると誰でも「腸もれ」するわけではないでしょうが、逆に、なぜか不調が続いている人が「腸もれ」を疑ってグルテンフリーを試す価値はありそうです。
「腸もれ」になると、腸内の細菌や毒素などの異物が、腸の外に漏れ出します。体内に異物を感知した免疫システムは、抗体を作って、異物を攻撃し始めます。
「もちろん、このとき免疫システムが働くことは、とても大切な体の機能です。けれども、開きっぱなしの穴から次々と漏れ出してくる異物と戦っていると、やがて過剰な攻撃となって、まわりの細胞まで傷つけてしまうのです」
朝はパン、昼はパスタ、夜はシチューといった食事を続けていると、小麦に含まれるグルテンによって腸のバリア機能を低下して「腸もれ」状態になる可能性があり、そうなったら体のいたるところで炎症が起きてしまう……最近になって分かってきたこととはいえ、小麦ばかり食べている人には、かなり衝撃的なお話です。
健康意識の高いセレブたちがいち早く実践したころで注目され、今ではグルテンフリー食品も増えてきました。
グルテンフリーが注目されるわけ
小麦は腸内環境にとって悪いのか?
「ところが、小麦を食べるとゾヌリンが大量に分泌されてしまい、細胞と細胞のあいだが開きっぱなしになります。そして、ゾヌリンは血管を通じて体じゅうに広がっていき、体内のありとあらゆる場所で、細胞と細胞のつながりを開きやすくしてしまうのです。
そもそも腸の粘膜は、細菌や毒素が漏れ出ないように細胞と細胞のあいだはしっかりと閉じられています。ところが、小麦を毎日食べていると、腸壁が炎症を起こし、隙間ができてしまう。これを『腸もれ』(リーキーガット)といいます」
小麦を食べると誰でも「腸もれ」するわけではないでしょうが、逆に、なぜか不調が続いている人が「腸もれ」を疑ってグルテンフリーを試す価値はありそうです。
「腸もれ」すると、体内の免疫システムが暴走する
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