
それからというもの、明美さんは一度も会ったことがない大貴さんに毎月8万円を振り込み続けています。
「欲しいコスメも我慢しなければならず、嫌気がさすこともありますが、変化していく彼を知るのは楽しい。彼は最近、スーパーのアルバイトに受かりました。品出しなんて初めてしたけど、結構大変なんだなあと嬉しそうに話してくれました」
その一方で、奇妙な関係になってしまったことを後悔することも。
「彼にお金を渡してから、貯金ができなくなりました。私の月収は23万円。金銭的に余裕があるわけでもないのに、馬鹿みたいですよね」
明美さんの中では、大貴さんへの振り込みがなによりも最優先。時には食費を削り、貯金を切り崩して生活する月もあります。
「実家で暮らしているので、お金が渡せる。でも、もう30歳をすぎてるので、結婚とかも考えないといけないなと思うと、このままの生活をしていていいのかなという迷いもあります」
とはいえ、「もうひとつ、掛け持ちできるバイトを見つけたら、もうお金はいらないし、これまでの分も少しずつ返していくから」と言う大貴さんを今さら、見捨てることはできません。
もしかしたら、恋愛対象ではなく、姉のような目線で彼のことを見ているのかも……。自分の気持ちをそんなふうに分析する明美さんは彼の生活が安定するまで、サポートを続けていこうと考えています。
そんな優しい気持ちが利用されていないこと、これからも利用されないことを願いたいものです。
<取材・文/古川諭香>
古川諭香
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:
@yunc24291