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『鬼滅の刃』は今からでも見るべき?大人も夢中になる理由

「ただ倒せばいい存在」ではない悪役の描かれ方

鬼滅の刃 人間関係だけでなく、社会のシステムにおいてもまた現在に通じる部分が多いと岡本氏は考察する。 「物語の序盤では、主人公はとにかく鬼舞辻無惨(きぶつじ むざん)という鬼のボスを倒すことを目的としているのですが、途中からは『鬼はすべてが悪なのか?』という疑問に直面します。鬼側にも決して一様ではない側面がある。これって私たちが生きている現実でも同じですよね。そんな複雑な世界でも、まっとうにコツコツと努力をして生きていけば幸せを摑めるのだと。『鬼滅の刃』はそういうハッピーエンドを見せてくれる作品でもあるんですよ」  向氏も「そうやって倒されるべき敵として描かれている鬼に、感情移入できる背景があるのも秀逸」と語る。 「鬼は悪であり、悪は倒すべき。正論はそうだけど、大人になればなるほど『それはわかってんねん』って思うじゃないですか。だって多かれ少なかれ、現実でも正しいことと悪いことの間でいろんな矛盾が生じていますから。鬼滅の世界での鬼も真っさらな悪ではなく、鬼には鬼の事情があるのだと理解できる。ただ倒せばいい存在でない描かれ方に、惹かれる部分はありますよね」

いろんな要因が複合的に重なったゆえの大ヒット

 しかし、なぜ『鬼滅の刃』がここまで爆発的な人気を得ることができたのか。その要因を岡本氏に聞いたところ「一つに断定はできない」という答えが返ってきた。 「原作漫画も非常に面白いのですが、人気に火がついたのはアニメ化のタイミングでした。しかし、その放送枠も深夜でどう考えても高視聴率は望めなかった。コアなアニメファンが面白かったと言っただけで終わっていた可能性もあります。やはり、SNSで評判になった後にサブスクで後追いができたことが大きいですよね。  また、コロナ禍も一因に挙げられるでしょう。自粛中で家族が一緒にいる時間に見られていたほか、コロナ禍により、配給できる映画の作品数が少ないため各映画館のスケジュールが開いており、シネコンが劇場を『鬼滅の刃』の上映に注力して使えるようになりました。これがソーシャルディスタンスを保つために観客数を減らさなければならないという状況下でも、より多くの動員が可能となった理由です。  また、本作には残酷なシーンもあるため、視聴には年齢制限がかかっています。つまり、12歳以下の子供が見るには親も一緒に行かなくてはならないのです。これによって、もともとの鬼滅ファン以外の人も映画に触れる機会が増大し、さらなる人気に繫がったとも推測できます。とにかく、この社会現象はさまざまなものが絡み合って生まれた結果ではないかと考えています」
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鬼滅ブームは来年以降も続く?
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