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夫ががんで他界、新居探しで大家とバトルに。屈辱の質問攻めとは

怒りを抑えてすべての質問に回答

 その瞬間、大いに怒りが湧いてきました。年の差婚の若い未亡人というだけで、犯罪を疑われるなんて! しかも、配偶者が亡くなるなんて事態を何度も経験することなど、とても考えられません。どんな思いで夫を看病し死を乗り越えてきたと思っているのだろうと思うと、悔しくてたまらなくなりました。 怒りを抑えてすべての質問に回答 しかも働けなく資産もなかった夫には、遺族年金以外に遺産なんて何もありません。それでもただただ、夫の人生の最後のためにベストを尽くそうとしていただけなのに、必要のない個人情報を開示させた上にこんな言われよう、侮辱としか思えません。  年の差婚の若い未亡人は、勝手な価値観を押し付けられ部屋も借りられないのか、と絶望しながらも、このまま誤解されるのは嫌だったので、怒りを抑えて質問にはすべて回答。不動産会社の担当に、誠実に接するためにも管理会社の担当と直接話したいとお願いしました。

残された人の人生は続く……自分のグリーフケアを探して

 結局、後日管理会社の担当と話して誤解を解き、ようやく大家も住むことを快諾。無事に希望の部屋に引っ越すことができました。こんなにフリーランスの未亡人の部屋探しがややこしいとは思いませんでしたが、新しい生活を始めて、また一歩前に踏み出せたように思います。 残された人の人生は続く……自分のグリーフケアを探して 夫が亡くなりあと数か月で1年になりますが、コロナ禍になったこともあり、世の中も自分の生活も大きく変わったと感じます。今もこの連載を書きながら思い出して涙でぐしゃぐしゃになるときもありますが、時間が経つごとに笑顔が増えているのも事実です。人によってグリーフケアになる方法はさまざまですが、私にとっては「書く」という行為がケアの一つだったのだろうと感じています。  今、大切な人を亡くそうとしている、または亡くなったという方も、今はとてもつらく厳しい時間が続くかもしれませんが、いつか必ず笑える時が来ます。ここで書いたことは私の方法ですが、何か踏み出すためのヒントになれば幸いです。  大切な人が亡くなった後も、残された人の人生は続きます。故人が残してくれた思い出と注いでくれた愛に感謝しながら、ときどき後ろを振り返りつつ、少しずつでいいので前を向いてみましょう。大丈夫、大切な人はこれからずっとあなたと一緒に生きてくれていますから。 ―シリーズ「私と夫の1063日」― <文/関由佳>
関由佳
筆跡アナリストで心理カウンセラー、カラーセラピストの資格も持つ。芸能人の筆跡分析のコラムを執筆し、『村上マヨネーズのツッコませて頂きます!』(関西テレビ)などのテレビ出演も。夫との死別経験から、現在グリーフ専門士の資格を習得中。Twitterブログ
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