あごは、引くより「斜め前に突き出す」とスッキリ顔に
「今はそこまでうつりを気にしませんが、就職活動やサークルの記念撮影など学生のころはコンプレックスをなんとか隠そうと必死でしたね~……。大切な写真は余計に気合が入って、あえてマッサージやサウナのあとに撮るようにしていました。血の巡りがよくなると顔もスッキリして、目が一回り大きくなるんですよ」
そのテクニックは尽きません。
「
カメラの少し上を見て目の中に光を取り入れるようにするのもおすすめです。目に光がうつり込むと、キラキラ輝いて生き生きして見えるんです。少女マンガでも目の中に星や光が散りばめられていますよね。
あとは、『写真を撮るときはあごを引く』というのが定番ですが、実は引きすぎて二重あごになってしまったり、やりすぎると睨みつけたり目つきが悪い人みたいに写ってしまうんです。大事なのは、引くのではなく『
あごをちょっと斜め前に突き出す』ような感覚。こうするとあご周りの肉が引っ張られて、スッキリうつりますよ」
うつりのよさには姿勢の良さも影響しますが、仲田さんは剣道四段の実力者。自然と綺麗な立ち姿が身についていました。
すぐに使えるテクニックを教えてもらえるのは嬉しいですが、その一つ一つが写真と見比べられて辛い思いをしてきた経験の上に成り立っています。そう思うと、どことなく苦くて、複雑な思いが湧き上がってくるような……。
「あまりにも『実物と違う!』と言われ続けたときは、もう何も工夫をせずにあえて思いっきりブサイクにうつってやろうかとも思いました。そうすれば笑いものにはなるけど、何度も写真をネタにされたり、笑われることもないですから。でも、
ふと、『私は誰のために可愛くうつりたいんだろう』と考えてみたんです」
それは「自分のためでした」と語る仲田さん。
「そう、誰のためでもなくて自分のため。顔のコンプレックスはありますが、整形までは考えていません。ただ、写真を見返したときに思い出や懐かしさを感じる前に、『うわあ、自分の顔やっぱりブサイク……』とマイナスな気持ちに引っ張られたくないというか。だから色々な工夫も、結局自分のためというのが大きいですね」
改めて自分の気持ちに気付いたら、周りの人からの批判や暴言もさほど気にならなくなったそうです。
「ギャップがすごい(笑)とか言われても、『知ったこっちゃねえよ』って。むしろ、しつこくいじってくる女友達には、『
人の顔を見て笑えるなんて、あんたの顔面レベルどんだけよ』とか、『自分を棚にあげないで!』ってガンガン言い返しています(笑)。『テクニックだけがすごくてもねぇ……』とかマウントを取ってくる人には、『いや、
そのテクニックをもっと褒めてよ! あたしの努力の結晶だよ!』って自分から努力とコンプレックスをさらけ出すようになりました」
コンプレックスを前にただ悩んで自分を否定するのではなく、自分なりの方法で向き合ってきた仲田さん。写真うつりの良さは、そんな彼女の努力の賜物(たまもの)だったのです。
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私のコンプレックス―
<取材・文/赤山ひかる イラスト/とあるアラ子>
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赤山ひかる
奇想天外な体験談、業界の裏話や、社会問題などを取材する女性ライター。週刊誌やWebサイトに寄稿している。元芸能・張り込み班。これまでの累計取材人数は1万人を超える。無類の猫好き。