「35歳くらいまで『学びあえるけど責任はお互い負わない』みたいな、刺激と軽やかさのある恋愛を繰り返していました。結婚はもういいという気持ちはずっと変わらず、一方で子を生める機会があれば生んでおきたいという気持ちは、うっすらありました」
結婚の後に出産と考えられがちな日本では、「結婚はしたくないけれど子は欲しい」という希望を叶えるのは難しい現状があります。そんな中、絵美さんは予定外の妊娠をすることとなります。

「妊娠は予想外だった」と話します。彼にどう伝えるべきかも悩んだそう。
「妊娠は本当に想定外でした。でも分かった瞬間『絶対生むぞ!』というスイッチが入ったのを覚えています。とはいえ、自分の中の覚悟はありましたけれど、彼に対しては(入籍や認知の選択がどうであれ)ショックを受けるのではないか、生んだら逃げたり不仲になったりするのではないかといった不安があり、告げるまでに2週間ほど悩みました」
自分一人のことだと思い切りの良さを発揮する絵美さんですが、彼との関係は極力相手に負担にならないようにと考えると、不安を拭いきれなかったようです。熟考と配慮を重ね、やっと告白をします。そしてドキドキの彼のリアクションはというと、報告をしたら涙を流しながらしっかりと抱きしめてくれたそうです。
「その日は、子育ては一緒にやっていきたいという意志の確認をして終わりました。お互いが仲良く気持ちよく過ごすにはどうしたら良いんだろうって、とにかく考えたのを覚えています。結果として、現在彼と半同棲で暮らしながらも入籍はせず、経済的な援助も受けていません。ただ子育ては可能な限り2人でおこなっており、今後もその関係性を変える予定はありません」
子育てについて現在の気持ちを聞くと、自分らしい働き方と子育てを両立できており、またパートナーシップも良好という状況に非常に満足度が高いと話します。

選択的シングルマザーとして、仕事面・金銭面での出産準備はかなり大事なようです。
初産もパートナー立ち会いのもと行えたそうで、結婚していないだけで何の問題もなさそうですが、出産までは一般的な悩みとシングルマザー故の準備もあったようです。
「妊娠した際、とにかく『妊娠しているんだから』という親切心によるアドバイスや情報に凄くナーバスになりました。生魚を誤って食べてしまった翌日に体調が悪いと、『赤ちゃん死んでるんじゃないの?』って思い、泣きました。
一方で出産における仕事と経済的な準備は着々と進めていました。まずフリーランスだったのを足固めのために法人化させ、周りにも出産を宣言し、スケジュールの調整を綿密に行いました。とにかくお金がないと余裕を持って子育てもできないと思っていたし、母親スイッチが入ったこともあり、『稼げるうちに稼がねば!』みたいな気持ちは強くありましたね」