愛犬のこうした行動を見た時は、不安を軽減してあげることが大切。「安心させてあげる意味も込め、笑顔で目を合わせてあげましょう。ずっと見るのではなく、周りも見渡してあげるのが良いと思います。」
ただし、視線を逸らしつつも、ふだんとトイレ中の行動が違わないかをチェック。「うんちやおしっこをする時にお腹が痛い、尿道が痛い場合はキャンと鳴くことなどがありますが、これは病気を示唆します」
痛みがあると、それが恐怖になり、トイレをしなくなってしまうケースもあるため、注意が必要です。
また、トイレがいつもより長く、ずっと同じ体勢になっている時もお腹が痛いサイン。「終わったと思ったのにまたすぐに同じ体勢をとる時は、胃腸炎などで辛い状況であるため、動物病院へ行くべきです」
ちなみに、犬は自分がしたうんちなどを踏まないように前に歩きますが、気持ち的に辛い時や高齢の子はうんちの切れ味が悪い時、りきんだまま歩いてしまうことがあるので、排泄後の行動も要チェック。トイレ中や前後の行動に目を向け、愛犬の心身を守っていきましょう。
猫は警戒心が強い動物。トイレ中には、犬とは違った接し方をしてあげる必要があります。
「猫は無防備になるトイレ時には誰もそばにいて欲しくないと思っているので、ひとりにしてあげ、安心させてあげましょう」
そのためには、トイレの設置場所にも配慮。「ひとりで静かにできる場所がいいと思います。猫は綺麗好きな動物なので、用を足す前にトイレを綺麗にしてあげることも大切です。
ちなみに犬の場合はケージの中で一緒に…というケースも多いかと思いますが、トイレトレーニングができていれば、どこでも大丈夫です」
なお、猫の場合もトイレ中だけでなく、トイレ前後の行動にも異変が見られないかチェックしていきましょう。ひんぱんにトイレに行く場合は何かしらの病気が潜んでいる可能性が高いため、動物病院を受診するのがおすすめです。
犬と猫は違った特性を持つ動物だからこそ、日常の中で心がけたいケアも異なるもの。ぜひこれを機に、排泄中の行動に目を向けたり、トイレの置き場所を再検討したりするなど、体と心、両方をケアできる飼い主になってみてくださいね。
【佐藤貴紀】麻布大学獣医学部卒業後、西荻動物病院、dogdaysミッドタウンクリニックにて副院長をつとめる。また、獣医生命科学大学内科学教室において循環器を主に学ぶ。2008年7月に「白金高輪動物病院」開業。2011年4月に「中央アニマルクリニック」開院。現在、株式会社WOLVES Hand 取締役CTO、
目黒アニマルメディカルセンター院長を兼任。
専門は「循環器」。「日本獣医循環器学会認定医」の一人 。医療YouTube、イチナナ生配信「名医のいる相談室」で活躍中。著書に『小学館ジュニア文庫 動物たちのお医者さん』『猫の急病対応マニュアル』など。
<取材・文/愛玩動物飼養管理士・古川諭香>
⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】古川諭香
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:
@yunc24291