――パルスオキシメーターの個人購入や血中酸素濃度を測定できるスマートウォッチの登場について、率直な意見をお聞かせください。
明星「先ほどお伝えした通り、肺や心臓に疾患がないような方で、コロナウイルス感染症と診断されていない方のパルスオキシメーターの購入は不要と思われます。
コロナウイルス感染症と診断され、自宅待機を命じられた場合などには、肺炎の増悪の指標になりますので、パルスオキシメーターの使用は有効と思われます。
スマートウォッチの普及に伴い、日々の血圧や血糖値、体温のチェックができることは非常に有益と思われますが、血中酸素飽和度の測定は
マラソン選手や登山者でない限り、通常はほとんど変動しないものですので、活用する場面はまれと思われます」
――もし個人で買いたい人はどんなものを購入すべきでしょうか? そもそも買わないという選択も含め意見をお聞かせください。また、また購入時の注意点もあればお願いします。
明星「本来なら不要な方が多く買うことで、本当に必要な方に行きわたらない場合は購入を控えるべきと考えますが、市場に在庫が潤沢にある場合は、購入すること自体は個人の自由と思われます。
また酸素飽和度を測定する場合、
重度の貧血がある方、指先の温度が低い方、つけ爪の方などは、正確に測定できない可能性があります」
市場ではかなり安価なものもあるようですが、参考までに病院で使用しているものの値段を尋ねたところ「1つ数万円程度」とのことでした。コロナ下で話題となっている「パルスオキシメーター」ですが、健康体の人にとって、体温計のような必須アイテムとはならないようです。
参考:
日本呼吸器学会 パルスオキシメータの使用に関するお願い
<明星 智洋 文/女子SPA!編集部>
明星 智洋
江戸川病院腫瘍血液内科部長。東京がん免疫治療センター長。2001年熊本大学卒業。その後、虎の門病院、がん研究会有明病院で勤務。2009年より江戸川病院にて勤務。血液専門医、がん薬物療法専門医。専門は、血液疾患全般、がん薬物療法、感染症管理。著書に『
先生!本当に正しい「がん」の知識を教えてください!』(すばる舎)がある。