星野佳代子さん(仮名・27歳・会社員)は、昨年のバレンタインデーに同じ部署の女性何人かでお金を出し合い、一緒に働く男性社員達にチョコレートを配りました。
「毎年の恒例行事なのですが、この時は私がジャンケンで負けてチョコを買いに行く係になってしまい正直めんどくさくて、こんな行事無くなればいいのにな~なんて思っていました」
昨年の2月はだんだんとコロナの感染者が増えていった頃でしたが、まだ「なんだかパニック映画みたいになってきちゃったね」と、どこか他人事だったそう。
「ですが3月には、あちらこちらでクラスターが発生したりと深刻な状況になってきて。まだコロナがどんな物なのかよく分からないという不安もあり、はっきり言ってホワイトデーの事なんてすっかり忘れていたんですよ」
そんな時に上司(43歳)から、バレンタインのお返しに可愛い花柄のミニタオルをもらったんだとか。
「奥さんに選んでもらったと照れ臭そうにしていましたが、コロナで手を洗う頻度が増えたので、そんな時にちょっとでも楽しい気分で手を拭けるようにミニタオルにしたと聞いてちょっとグッときてしまって」
その上司は毎年ホワイトデーに、キャンディーのセットをみんなにお返ししてくれていてくれましたが…。
「あぁまたコレね、という感じで当たり前みたいにもらっていましたが…あれって本当はとても幸せな事だったんですよね。また上司からキャンディーもらって、またコレかよと思う日々に戻って欲しいですよ」
ですが、これまでマンネリのお返ししかしなかった上司の変化に勇気をもらったという佳世子さん。
「私もコロナで我慢しなくちゃいけない事が多くなっても、柔軟に対応して、その中で楽しみを見つけたり、周りの人達にも優しくしていかないといけないなと思えるようになったので、感謝していますね」
<文&イラスト/鈴木詩子>
⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
【他のエピソードを読む】⇒
「実録!私の人生、泣き笑い」の一覧へ鈴木詩子
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:
@skippop