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夫をがんで亡くして1年。「私の中に夫は生きている」と確信した瞬間

自分の中に夫は生きている……

 この1年を振り返り、夫とはいまだに二人三脚で生きているように思えています。けれど、仕事やプライベートの悩みが出てきたときは、当然実際に意見を求めたり話を聞いたりすることはできません。
自分の中に夫は生きている……

写真はイメージです(以下同)

 夫は私の仕事の一番の理解者であり、応援者でした。いつも私を励まし、ときに叱り、アドバイスをくれた存在。その人がいないのは、現実問題として何度も困惑しました。  しかし、いないものは仕方ありません。夫から意見をもらいたいときは、自分で「夫ならなんと言うだろう」と考えるようにしています。すると不思議なことに、ちゃんと夫が出すであろう答えが出てくるのです。  そのたびに、私の中に夫は生きている、と確信します。一人じゃない、というのはこういうことなのだなと感じ、私が最期まで夫と生きていてよかったと心から思う瞬間です。

未来を見られるようになるにはそれぞれの時間がある

 これからも夫のいない世界で生きていかなければなりませんが、1年経ち、私は前を向けています。ときどき後ろを振り返りつつ、それでも一歩ずつ前へと足を進めることが怖くなくなりました。 未来を見られるようになるにはそれぞれの時間がある ときに「さすが、立ち直るの早いですね」と言われることもあります。実際、一般社団法人日本グリーフケア協会会長で自治医科大学看護学部教授の宮林幸江氏の研究によると、配偶者を亡くした人が自分らしく生きられるようになるには、平均で4年半かかるといわれています。そのデータからすると、たしかに私は早いように見えるかもしれません。  でもこれはあくまでデータであり、状況も生き方も性格も人によって違うので、当然個人差があること。早かろうが遅かろうが、まったくおかしなことではなく、その残された人がどこかのタイミングで未来を見られるようになればそれでいいのです。この年月に縛られることはありません。  喪失感から立ち直るには「時間が解決する」という言葉がよく聞かれますが、正直そんな単純な話ではありません。もし、身近な方が大切な人を亡くして長い期間落ち込んでいたり、すぐに立ち直ったように見えたりしても、その方にはさまざまな苦悩があるはず。どうかその時間を否定せずに、受け止めて話を聞いてほしいと切に願います。 ―シリーズ「私と夫の1063日」― <文/関由佳> 【他のエピソードを読む】⇒「実録!私の人生、泣き笑い」の一覧へ
関由佳
筆跡アナリストで心理カウンセラー、カラーセラピストの資格も持つ。芸能人の筆跡分析のコラムを執筆し、『村上マヨネーズのツッコませて頂きます!』(関西テレビ)などのテレビ出演も。夫との死別経験から、現在グリーフ専門士の資格を習得中。Twitterブログ
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