3. 時代遅れが逆に新鮮? 過激な演出やストーリー
『澪つくし』では、尺調整(放送尺の15分に合わせるため時間を穴埋めしたり、カットしたりすること)のため不定期に挿入歌『恋のあらすじ』の映像が流れていました。
突然流れるカラオケビデオのような映像は、当初違和感があったものの、次第に病みつきになる再放送視聴者も多く「恋あらタイム」などの造語も作られ、時折朝のツイッタートレンドをにぎわせました。
彩恵津子「恋のあらすじ」 (EPレコード 7inch,テイチク)
このように
現代では見られないちょっと強引な構成や演出は昔の朝ドラならではのものです。また、今であればコンプライアンス上許されない描写や過激な演出も見られるのも昔のドラマの注目点。
現代の優しい演出に慣れ切っている自分にとって、
いじめやイビリ、セクハラのシーンは視聴に耐えがたい部分はありますが、放送当時や舞台の時代のリアリティをありありと感じることができます。
DVD「連続テレビ小説 おしん 完全版 1 少女編」デジタルリマスター(NHKエンタープライズ)
『おしん』の子供時代のいじめのシーンは、今だったらもっと柔らかい演出になっていたでしょう。『おしん』が記録した62.9パーセントの最高視聴率は、そんな主人公に同情し、心から視聴者が話に入り込んで応援したことが、理由のひとつなのかもしれません。
温故知新という四字熟語がありますが、その言葉通り昔のドラマを見て、新たな発見をすることが数多くあります。多少堅苦しいと思う部分もあるかもしれませんが、数回見れば話の中に入り込み、ハマってしまうこと間違いなしです。
朝ドラファンの中には、新作より旧作の再放送を楽しみにしている人も多いとか。3月29日から放送している『あぐり』もまだまだ序盤。
今からでも追いつけるので、三浦春馬さん、生田斗真さん目当てのみなさんもぜひドラマを楽しみながら登場を待ってみてはいかがでしょうか。
<文/小政りょう>
小政りょう
映画・テレビの制作会社等に出入りもするライター。趣味は陸上競技観戦