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宇垣美里「変態どもよ、震えて眠れ」/映画『SNS-少女たちの10日間』

 元TBSアナウンサーの宇垣美里さん。大のアニメ好きで知られていますが、映画愛が深い一面も。 宇垣美里さん そんな宇垣さんが映画『SNS-少女たちの10日間-』についての思いを綴ります。
映画『SNS-少女たちの10日間-』

映画『SNS-少女たちの10日間-』

●作品あらすじ:12歳女児という設定でSNSにアカウント登録をすると、何が待ち受けているかを検証したドキュメンタリーです。  撮影スタジオに作られた3つの子ども部屋で、幼い顔立ちをした3名の女優(全員18歳以上)は偽のSNSアカウントで12歳のふりで友達募集をして、連絡してきたすべての年齢の男性とコミュニケーションを取りました。  少女アカウントに群がってきた2458人の成人のうち、大多数はビデオセックスを要求し、自身の性器の写真やポルノのリンクを送信してきました。なかには恐喝する者も。
『SNS-少女たちの10日間-』より

ビート・クルサーク監督と出演者

 精神科医、性科学者、弁護士や警備員など専門家の万全なバックアップやアフターケアのもと撮影を続けること10日間。子どもたちへの性的欲望はますます過激になり、彼らは尻尾を出し始めるのでした…。  現代の子どもたちが直面する危険をありのまま映し出した恐るべき問題作を宇垣さんはどのように見たのでしょうか?(以下宇垣さんの寄稿です。)

少女に欲望を向ける男たちを捉えた胸糞悪いドキュメンタリー

映画『SNS-少女たちの10日間-』

『SNS-少女たちの10日間-』より

 胸糞悪い。でも悲しいかな、どこかわかり切ったことのようにも感じた。作品中の地獄のような現実に対し、この世で女として生きていて「こんなひどいことが!」なんて驚ける人、いるだろうか?  遠いチェコを舞台にした話ではあるが、人間のすることに場所はあまり関係ない。現に私は、痴漢で、ナンパで、SNSで嫌というほど似た思いをした。だからこそ、幼い子どもたちがネット上であのような恐怖に無防備なまま晒(さら)されていると思うと吐き気が止まらなかった。  3人の女優が12歳の少女として登録したSNSには、10日間で2458人もの男から連絡がきたという。相手が未成年と知りながら、彼らはためらうそぶりも見せずに陰部を露出し、裸の写真を懇願し、卑猥な言葉を浴びせる。あまりの醜悪さにむしろ滑稽で笑ってしまうくらい。全然笑いごとじゃないんだけど。 映画『SNS-少女たちの10日間-』 その悪魔のうちの一人はなんと制作スタッフの知り合い。つまり子どもたちに性加害をするのは、そこら辺にいる普通の男。誰かの親で、夫で、同僚なのだ。  なのにどうしてこんなひどいことができるんだろう? それは彼女たちのことを人間だと、血の通った誰かの大切な人だと思っていないから。くたばれ。
映画『SNS-少女たちの10日間-』

『SNS-少女たちの10日間-』より

 ネットは怖い。でも、子どもの使用を規制すれば解決するのだろうか? 大切な友人の娘たちの笑顔を思いながら、守る方法を考えたいと思った。  チェコでは本作をもとに警察の捜査が開始されたという。変態どもよ、震えて眠れ。私はお前らのせいでしばらくスカイプの音が怖い。そして一人でもいい、傷つき人生に絶望する子が減ることを願ってやまない。 SNS-少女たちの10日間-』 ’20年/チェコ/1時間44分 監督/バーラ・ハルポヴァー、ヴィート・クルサーク 配給/ハーク ©2020 Hypermarket Film, Czech Television, Peter Kerekes, Radio and Television of Slovakia, Helium Film All Rights Reserved. <文/宇垣美里> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
宇垣美里
’91年、兵庫県生まれ。同志社大学を卒業後、’14年にTBSに入社しアナウンサーとして活躍。’19年3月に退社した後はオスカープロモーションに所属し、テレビやCM出演のほか、執筆業も行うなど幅広く活躍している。
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