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発達障害の夫をもつ妻の苦悩。“心が通わない違和感”は理解されにくい

 ここ数年でメディアなどの報道により発達障害の認知度は上がりました。不注意が多かったり衝動的な言動のあるADHD(注意欠如多動性障害)、コミュニケーションに難があったり、特定のこだわりやルーティンを好むASD(自閉スペクトラム症)、知的に問題はないのに読み書きや計算が難しいLD(学習障害)についてはご存知の読者も多いでしょう。
私の夫は発達障害?

真行結子『私の夫は発達障害?』(すばる舎)

 一方で、発達障害特性が見られるパートナーを持ち、その特性に翻弄(ほんろう)された妻(または夫※)が陥るカサンドラ症候群」は、まだまだ認知度が低いのが現状です。(※本記事タイトルに「妻の苦悩」とありますが、男女が逆のケースも当然あります)

カサンドラ症候群とは? うつや不眠になる人も

 例えば、妻が夫に何を言っても受け答えが常に「わかりました」だったり、具合が悪くて寝込んでいるのに「大丈夫?」の声すらかけてもらえない、妻が外出をしないといけない際に夫に子どもの世話を頼んだのに夫が面倒を見ずに出かけてしまう……共感力の欠如などの特性からくるパートナーのこうした行動が積み重なり、夫婦関係や家庭生活に影響を与えます。カサンドラ症候群とは、その結果生じる、うつ、無気力、不眠、パニック障害、自尊感情低下などの身体的・精神的症状のことを指します。
カサンドラ症候群

写真はイメージです(以下同じ)

 今回は、自身もカサンドラ症候群経験者で、カサンドラの支援団体「フルリール」の代表、『私の夫は発達障害? カサンドラな妻たちが本当の幸せをつかむ方法』(すばる舎刊)の著者でもある真行結子(しんぎょう・ゆいこ)さんに話を聞きました。カサンドラ症候群はどのような状況で起こり、彼女/彼らに対してはどんな支援が必要とされているのでしょうか。(以下、「」内コメントすべて真行さん)

カサンドラの悩みは100人いたら100通り

「まず、フルリールでは、カサンドラ症候群当事者が集い、プライバシーが守られる安心・安全な場で、悩みや体験を語り、否定されることなく気持ちをわかちあい、情報と経験と智恵の交流を行うセルフヘルプグループ活動に取り組んでいます。  その他、個別のサポートを求められる方も多いので、その際は、個別カウンセリングを私が担当し行っています。カサンドラのお悩みで多いのは、パートナーと会話のキャッチボールができない、コミュニケーションが取れない、いたわり合いができず夫婦としてのつながりの実感が持てないというものです」
「フルリール」代表の真行結子さん

「フルリール」代表の真行結子さん

 カサンドラの悩みは共通する部分はあるにせよ個別性が高く、パートナーの特性の種類や強さ、カサンドラ側の性格傾向、周囲のサポート体制などにより、100人いたら100通りの悩みがあるそうです。  また、フルリールでは、医師等の専門家による発達障害についての講演会や、カサンドラ症候群からの回復講座などの「学びの会」も実施しています。 「発達障害の特性により、計画や見通しを立てることが難しい方がいて、家計にも影響するケースがあります。そのためファイナンシャルプランナーを招いての家計講座も行っています。また、夫婦関係が破綻して離婚を望む方には法的な知識が必要となる場合がありますので、カサンドラ症候群や発達障害に理解のある弁護士と連携をし、法律講座や個別相談を行っています」

「夫婦はそんなもんだよ」他人に理解してもらえない苦しさ

 一般的にカサンドラ症候群は周囲に理解されにくいものだと真行さんは言います。それは「夫が全然話を聞いてくれなくて」「夫が片付けなくて」などと相談をしても「男の人はそんなもんだよ」「うちだってそうだよ」という言葉で片付けられがちで、自分が悪いのだと思いこんでしまい、一人で悩みを抱えてしまうのです。  フルリールはセルフグループ活動を月3~4回行っており、毎回30名ほどが参加しています。参加された方は、「同じ悩みを抱えている人がこんなにいるとは思わなかった」と驚き感激するそうです。それまでは周囲に話しても理解してもらえないことから孤立感のなかで悩みを深くしていた方が、仲間と出会い、共感の中で安心し、回復にむけて歩みだす力を得る場がフルリールなのです。
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本人に困り感がない場合、医療機関を受診しづらい
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