塚田僚一さん演じる空田公平は、がんばるシングルファザー。
公平は急逝した妻の連れ子を実の子のように愛しており、10歳の娘・あかりとは固い絆で結ばれています。彼は大病を患って高校進学を諦めた過去があり、元気になった今、亡き妻と娘に応援されて定時制に入りました。
昼は宅配業で働き、夜は青春をやり直す気持ちで学ランをまとい、定時制に通っています。クラスメートにもフレンドリーに接する公平は、定時制に咲くひまわりのように思えます。
橋本良亮さん演じる風間翔は、高校を中退したひきこもり男子。
父は大病院の理事、兄は外科医で、翔自身もIQ164と頭脳は明晰ですが、兄と比べられる居心地の悪さと対人恐怖症から部屋に引きこもっています。
それでも“家にいたくないから”という理由で定時制に通い、外界とのつながりは遅咲きの恋の目覚めも彼に運んできました。誰とも口を聞かず、声を出すことさえ忘れてしまった翔が、みずみずしい感情を吐露するときはくるのでしょうか。
さまざまな理由で同じ学び舎に集う彼らに、ゆっくりと化学変化が起き、その先にどんな未来が待つのか、たどるのがとても楽しみです。
過ごしてきた時間は、見つめかたひとつで味方にもなってくれるもの。「この時間があったから……」とうなずければ、生きてきた日々は地熱となって強く温かくその身を支えます。
A.B.C-Zも“CDデビュー”という点にしぼれば、叶えるまでの道のりは決して短くはありませんでした。けれど今、彼らが積んできた豊かな経験は、包容力のある笑みやパフォーマンスとなって輝いています。
「スタートで遅れをとった」とか「タイミイングが悪かった」という人がいても、気がつけば彼ららしい歩調で時代をとらえ、誰にも立てないポジションにいる。
何度でも「ワンモア!」と挑める素敵なグループ――それがしなやかでたくましい、A.B.C-Zなのだと思います。
<文/みきーる イラスト/二平瑞樹>