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メイプル安藤なつ「介護“される側”の気持ちを考えた」20年の介護経験

介護のために、あえてダメ人間になってみる

安藤: ゆずこさんはなにか独自のやり方って、ありました? けっこう漫画(※青山ゆずこ『ばーちゃんがゴリラになっちゃった。』/徳間書店刊)にも描いてあるけど。 ゆずこ: あ、そうそう、あたしはダメ人間になります。もう一切自分のことがなにもできないダメ人間。お風呂も面倒くさいから入りたくないとか、化粧落とすのもめんどくせえとか。あとは偏食で、めっちゃ好き嫌い多いキャラになる。 安藤: なかなか強烈なキャラっスね……。
風呂

写真はイメージです(以下同じ)

ゆずこ: 前回の記事で紹介した、食事を拒否されたときに人気グルメリポーターの彦摩呂さんになるっていうのも方法の一つですけど、こんな風にダメ人間になって思いっきり頼っちゃうのも効果的です。「一生のお願いだから私のキライなもの代わりに食べて!」っていうと、高確率で食べてくれるんですよ。 安藤: すげえ。 ゆずこ: お風呂もね、真夏でも拒否されちゃうことも多いから、「ばーちゃんお風呂一緒に入って、わたしのことキレイにして」ってボロボロの状態を見せつけるようにして言うんです。するとさっきまで正論に対しては拒否してたのに、「まったくあんたは……しょうがないヤツだね」とか言いながら、一緒に入ってくれる。そしたらこっちのもんです。  ぴゃーっとばーちゃんのこと洗っちゃって、2人そろってキレイになっちゃえばいい。  これは結構元々の性格がしっかりした人や、頼られると嬉しくなっちゃう人に効果的だと思います。

介護する相手に「頼って甘える」のも効果的

安藤: 確かになあ……。ナチュラルな上から目線とか、正論とかより、「自分なんもわかんないんで、教えてください」「自分できないんで、これやってもらっていいですか」って、相手に頼る、委ねるのって介護施設の現場でも本当に効果があるんですよ。 ゆずこ: ですよね。 安藤: 冒頭の“介護される側の緊張感”じゃないけど、あえてこっちが甘えることで相手の緊張もちょっと解ける気がする。 ゆずこ: そうですね。相手を緊張させず、プライドを傷つけず、ゆっくりと誘導する。……必殺、手のひらの上でばーちゃん転がし大作戦です。with孫! 安藤: やるねぇ。 【お笑い芸人 安藤なつ】 お笑コンビ/メイプル超合金のツッコミ担当。女優。中学時代から介護を経験し、歴20年以上。「M-1グランプリ」をきっかけに大ブレイク。ハーレーダビッドソンをこよなく愛し、最近のマイブームは「生春巻きでなんでも包む」こと。生春巻きに無限の可能性を感じている。 Twitter:@mapleandonatsu、オフィシャルブログ「メイプル超合金 安藤なつのごにょごにょ日記」 ―メイプル超合金 安藤なつ、介護を語る― <取材&漫画&文/青山ゆずこ>
青山ゆずこ
漫画家・ライター。雑誌の記者として活動しつつ、認知症に向き合う祖父母と25歳から同居。著書に、約7年間の在宅介護を綴ったノンフィクション漫画『ばーちゃんがゴリラになっちゃった。』(徳間書店)、精神科診療のなぞに迫る『【心の病】はこうして治る まんがルポ 精神科医に行ってみた!』(扶桑社)。介護経験を踏まえ、ヤングケアラーと呼ばれる子どもたちをテーマに取材を進めている。Twitter:@yuzubird
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