「え? だってお尻が大きくなったから昔のスカートが入らないんだろ?
今日デパートで、大きめのサイズを見たらいいじゃないか」
「……」
「ほら、そんなタイトなスカートじゃなくてふわっとしたやつ。ファスナーじゃなくて腰回りがゴムになってるのだったら、はきやすいんじゃない?」
不穏な空気を感じた和人さんは、空気を変えようと新しい洋服に話題をそらします。ところが恵さんの表情は、ますます険しくなっていきました。
「
バカにしてんの?」
「バカになんてするはずないだろ?
そんなパツンパツンの状態で無理してはくことないかなって思っただけだよ」
「やっぱりバカにしてるんじゃん! 私のことデブって言ってるんでしょ!」
「言ってないよ!」
「言ってるよ! 半笑いだし。マジむかつくんだけど」
結婚した当初の恵さんはスラリとしていて、身体のラインが出る洋服を好んで着ていましたが、出産後は身体が丸みを帯び、体重が6㎏ほど増えていました。
体重を元に戻したいと思いつつも、授乳中で食事制限をするわけにもいかず、運動する時間も取れず、体型のことを気にしていたのです。
妊娠中の体重は平均7~12㎏増えるのが標準です。妊娠中は痩せ過ぎてもいけませんし、太り過ぎてもいけません。
出産を終えて自然と体重が戻る人もいますが、ホルモンバランスの変化やさまざまな状況から、そのまま体型が変わらないこともあります。
「どうして元に戻れないんだろう」と焦ったり悲しんでいる女性は多いのです。ですから、そんなに気にするなら痩せればいいじゃないか、なんて考えは御法度(ごはっと)です。