Love

1度だけの不倫相手に執着してしまう47歳女性の胸中「最後の恋だから」

距離を置かれて

 この人が好き、この人をもっと知りたい。もっと密着していたい。恋心は高まっていった。  彼も「あなたのことが好きでたまらない」と言ってくれたのだ。  それなのに、その後、彼から個人的な連絡が途絶えた。それでも仕事は一緒にしなければならない。 「会いたいというメッセージを送ると、『仕事が忙しくて』『家庭でちょっと問題が起こって』などの返事が来るんです。もう嫌になっているのかなと思うと、『僕はやはりあなたが好きです』と来たりする。私は愛されている。それが私の支えでした」  ただ、それ以来はメッセージのやりとりが延々と続いた。サトエさんは、ふたりきりで会いたいという情熱が、「メッセージがくれば私を愛している証拠」に自身の中で変化していっていると気づけなかった。 「ある日、ふと気づいたら半年たっていました。飲み会があっても彼は途中で抜けてしまうし、ふたりきりで話す機会すらないまま。それでもメッセージが来ると希望を抱く。こうやって続けていれば、また会える日が来ると信じていたんです」  だが彼は異動してきて2年少したったところで、また異動していくことになった。今度は離れた支社での勤務となるようだった。 スマホ 女性「『単身赴任なの?』とメッセージしたら、既読にもならないまま1ヶ月。そして『現地に着きました。元気?』とある日突然返信が来ました。でも私の質問には答えてない。だから再度、『ひとり?』と聞いたら、また既読にならない」  この恋は終わったのだと、ようやくサトエさんは悟った。薄々、気づいてはいたのだ。だが、1回だけで「捨てられた」と思いたくなかったのだろう。 「それでもついついメッセージを送ってしまう。彼からは、忘れたころに来るんです。自分がしがみついているような気がするけど、挨拶くらいはしてもいいはずって思って……。恋は終わったかもしれないけど、彼との関係は終わってないと思うんです」  最後は自信なさげに声が小さくなる。

「最後の恋だから」執着してしまう

 もし彼女が30代だったら、今と同じ対応をしただろうか。「しがみついているような気がする」行動をとっただろうか。 「最近、更年期の初期症状が出ているんですよね。ホットフラッシュがあったり、今までなかったような偏頭痛がしたり。女として終わりに近づいているという焦りがあります。それと彼とのことは関係ないと思いたいけど……」  やはり彼女は気づいているのだ。40代後半になってからの恋で相手にしがみつくのは、「女としての焦燥感」があると同時に、「もうこの先、恋なんてできないはず」という不安があるからだということに。  もちろん個人差は大きいが、更年期の症状に焦燥感を抱く女性は少なくない。女としての自分を手っ取り早く自覚できるのが「恋」なのかもしれない。 【他の回を読む】⇒「シリーズ40代の恋」の一覧はこちらへ 【他のエピソードを読む】⇒「実録!私の人生、泣き笑い」の一覧へ <文/亀山早苗> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
亀山早苗
フリーライター。著書に『くまモン力ー人を惹きつける愛と魅力の秘密』がある。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。Twitter:@viofatalevio
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