
40代になるとすっかり自分でも諦めモードに入ったとナオキさんはため息をついた。だが、45歳の誕生日に漠然(ばくぜん)と不安を覚えた。
「鏡で自分を見たら白髪は増えているし、なんだか顔も暗い。学生時代の友人にも独身はいますが、彼らは独身を謳歌しているんですよね。自由に恋ができるんだから、結婚なんてしなくていいよという感じ。
でも僕は女性からたぶん『気持ち悪い』と思われているんじゃないか、と……。恋をしたいと切実に思いました。誰かと寄り添って、お互いを思い合って生きていけたらいいなあと本気で思ったんです」
見た目はごく普通の40代である。気持ちが悪いなどという外見ではない。“理想の女性像”に縛られている感じでもない。質問にはきちんと答えてくれる。何が彼をそこまで“引っ込み思案”にさせているのかわからない。おそらく小さなコンプレックスや傷が積み重なってしまったのだろう。
「今は焦っています。ひとりでときどき行くバーで顔なじみになった女性がいるんですが、口説くことはできません。せっかく話せるようになったのに、ここで口説いたら数少ない女性の友だちも失ってしまうから。
彼女、かなり年下だし、きっと恋人もいるだろうし。でも僕は彼女のことが女性として気になっているんですけどね」
年齢が彼を追い詰める。「何もない将来」が怖いと彼は言う。そう言いながらも、いい年をして恋がしたいなんて言っている時点で笑われますよねと何度かつぶやき、複雑な今の心情をのぞかせた。
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<文/亀山早苗>
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