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不評の五輪閉会式で、「東京音頭」のベタさがウケた謎

 8月8日に閉幕した東京オリンピック。同日に行われた閉会式への違和感が噴出しています。  グーグル検索をすると、「閉会式ひどい」と「閉会式つまらない」が同時にサジェストされる始末。デーブ・スペクター氏も自身のツイッターで「世界の誰もわからない、意味不明。」と全否定するなど、最後までケチの付き通しでした。 【画像をすべて見る】⇒画像をタップすると次の画像が見られます
東京音頭

誰もがあっけに取られた「東京音頭」(代表撮影:雑誌協会)

「カオスと意味不明なのは違うわ」

 開閉会式の振付を担当した平原慎太郎氏は、「しっかり自分のカオスというのが自分の中にあって、ただその中に秩序を見出すのもまた個々のこれからの心の持ちようかなと、社会の取り組みなのかなと思いましたので、まずカオスを作ってそれを秩序化させていくプロセスをみんなで楽しむ、ひとつの音楽で楽しむ」と、ダンスやパフォーマンスの狙いを語りました(8月9日・記者会見)。  そんなプロジェクトチームの崇高な理念でしたが、ネット上では“カオスと意味不明なのは違うわ”と冷静にツッコまれていました。
アオイヤマダ

アオイヤマダのダンス。曲はドラマ『波の盆』用に武満徹が作ったテーマ曲(代表撮影:雑誌協会)

 ともあれ、閉会式でキーとなっていたのが音楽である点は確かです。東京スカパラダイスオーケストラとDJ松永(ヒップホップユニット・Creepy NutsのDJ)の演奏に、昨年の紅白歌合戦に初出場したmiletが次回開催国フランスの愛唱歌「愛の讃歌」を日本語とフランス語で披露。
スカパラ

東京スカパラダイスオーケストラ(代表撮影:雑誌協会)

 加えてストリートダンスやロープスキッピング、サッカーのリフティングなどもごった煮にして、国際都市・Tokyoの多様性を表現しようとしていたところまでは理解できました。
ストリート

東京人も見たことがない、ストリートの日常を再現?(代表撮影:雑誌協会)

多様性ってこういうことなの?

 しかし、閉会式中、最高に冷え切っていたのが、この演出チーム肝いりのパートだったのは皮肉です。パフォーマー同士の距離がスカスカだわ、選手たちは音楽より涼むほうが先だわで、全く一体感がなかったからです。  っていうか、いきなり日本人のミュージシャンにスカ(ジャマイカ音楽)だのシャンソンだのやられても、そりゃ面食らいますわ。確かにスカパラはかっこいいけれども、日本人が期待する伝わり方まで求めるのは酷です。
milet

「愛の賛歌」を歌ったmilet(代表撮影:雑誌協会)

 それはスカパラがいい悪いではなくて、海外の人たちがスカパラを受け入れるための前提条件があまりにも不足していたという意味ですね。“海外のライブでもウケてるからイケる”というだけでは、音楽の力は保証できないのです。正直なところ、海外の選手たちはどう反応したらいいかわからなかったんじゃないでしょうか。  認識のズレが生んだ、不幸なミスマッチだったように思います。
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東京音頭ぶっこみに、小さく踊った選手も
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