「窓が一つしかないんですよね。前の部屋は、ベランダに出る大きな窓と、もう一つ小さな窓があってとても風通しが良かったんですよ」
仕方がないので、掃除をする時などは玄関ドアにサンダルをはさんで少し開けた状態にして、風を通しながら換気していたんだとか。

「そんなある日曜の午後、また換気しながら掃除をしていたら、いきなり玄関がガチャッと開いて全然知らない男の人がズカズカ入ってきたんですよ!も~ビックリし過ぎて固まってしまいました」
すると、その男性も驚いた様子で「誰!?」と騒ぎだしました。
「とても怖かったですが、何とかしないとと思い、玄関にあった傘で『出て行け!』とつつきながら外に出し、あわてて鍵をかけました」
怖さの次に、何なんだあの男と怒りがわいてきた茉美さん。コロナ禍に知らない男性が部屋に入ってきた事が気持ち悪く、すぐ念入りに掃除を始めました。
「しばらくするとまた玄関から音がしたので、見に行ってみたら郵便受けに封筒が入っていたんですよ」

なんとさっきの男性からで、彼は下の階の住人で、お花見で酔っ払って帰ってきて部屋を間違えてしまったと謝罪の言葉がつづってありました。
「おまけにamazonギフト券まで入っていて『本当にすみませんでした!お願いなので、通報しないで下さい』と書いてありました」
あまりにムカついて、通報するのを忘れていた茉美さん。逆恨みされるのも怖いし、これ以上関わり合いたくないので、このまま通報しない事にしました。
「もう玄関を開けて換気をするのはやめました。でも、よく考えたら強盗とかレイプ魔とかじゃなくてラッキーでしたよね」
ちなみに茉美さんは、そのAmazonギフト券でお米を買ったそうです。
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<文&イラスト/鈴木詩子>
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漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:
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