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野々村真を叩いた人たち、5つの傾向。コロナで“政府批判”はおかしいのか?

 野々村真の「もっと早く菅首相には辞めていただきたかった」という発言に賛否がわかれています。

野々村真「泣きたくても泣けなくても苦しんでいるのは…」

 野々村真は、9月6日『バイキングMORE』(フジテレビ系)にリモート出演し、「申し訳ないですけど、もっと早く菅首相には辞めていただきたかったなくらいの思い。このような状況になって『今かよ』と。生死をさまよった人間として言わせてもらいますけど、本当に今、この時点でたくさんの人がまだ苦しんでいる」と話しました。  また、記者への対応中に泣き出した小泉進次郎環境相について、「泣きたいのは…。泣きたくても泣けなくても苦しんでいるのは、今、集中治療室(ICU)に入っている人たち。そして亡くなった人たち、そのご家族。この政治のおかげで命を失っていることを絶対忘れないでほしい」と訴えました。  これに対して、SNSでは賛否が飛び交い、とくに否定派の反応は激烈で、野々村真のユーチューブチャンネルの動画に数多くの批判コメントを投稿しています。

医療崩壊で2度緊急搬送を断られた野々村真

 野々村は、新型コロナウイルスに感染し、救急搬送を2度にわたり断られたため自宅療養を続けざるを得ず、容態が悪化しての入院時には両肺は真っ白で重度の肺炎と診断され生死をさまよいました。彼に限らず、多くの新型コロナに感染した人々が救急搬送を断られたり、入院先が見つからずに自宅療養を続けており、なかには自宅療養中に亡くなり死後発見されているのが現状です。  こういった医療体制のひっぱくを実体験した野々村の訴えは、自身の感染を政府のせいにしているわけではなく、現実に感染者が入院できない医療崩壊を招いた点について述べています。  では、野々村真を叩いている人々の、その背景にある発想やロジックとはいったいどのようなものなのでしょうか? 長年さまざまなジャンルを取材し『日本一赤ちゃんが産まれる病院 – 熊本・わさもん医師の「改革」のヒミツ』(中央公論新社)など著書多数の亀山早苗さんに、大きく分類した5つの傾向から読み解いてもらいました。(以下、亀山さんの寄稿)

野々村真、同情から一転、叩かれることになった理由は?

 タレントの野々村真さん(57歳)が、新型コロナウイルスに感染したのは7月30日のこと。仕事関係者に感染者がいるのを知って自主的に検査を受けて陽性と判断された。  その後は保健所の指示に従って自宅療養を続けていたが、症状が悪化。2度の救急搬送を要請したが却下され、8月5日にようやく入院した。一時はICUに入り、人工心肺装置「エクモ」装着一歩手前の状態だったという。  25日にYouTubeで退院を報告。翌日、フジテレビ系「バイキングMORE」にリモートで生出演したときにはげっそりと頬がこけ、話すのも青息吐息といった状態。それでも医療関係者への感謝の言葉を述べ、視聴者から心配と同情の声が集まっていた。  ところが今月6日、同番組に再度リモート出演したおりに、「僕は申し訳ないですけど、もっと早く菅首相には辞めていただきたかったなくらいの思いです」と発言。前週3日の金曜日に、菅総理が次期総裁選選挙に出馬しない意向を発表したことを受けてのこの言葉に世間が反発。以来、野々村さんはネットで叩かれ続けている。  突然の世間の手のひら返しは怖い。何が人々をいらだたせたのだろうか。

「政権を批判するな」と考える人々

 次期総裁選に出馬しないと表明してから、菅総理を擁護、評価するような風向きも強くなっている。辞めて行く人に世間は優しいのか、あるいは冷静な判断をしようとしているのか。  ただ一定数、政権を悪く言う人を許さない人々がいるのも確かだろう。「人は褒めて伸ばす」タイプなのかもしれない。いつの時代もどんな首相にもシンパはいる。 「誰が総理だって、このコロナ禍は避けられなかった。ときの総理を悪くいうのは筋違い」という声もある。
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「メディアや芸能界が悪い」論
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