第一報を伝えた『ウォール・ストリート・ジャーナル The Wall Street Journal』によると、そもそもマクドナルドのアイスクリームマシーン自体が、構造がとても複雑でメンテナンスにも手間がかかり、壊れやすい上、スタッフだけでは簡単に修理できないなど、故障の常態化を引き起こす原因となっていたことが判明。
フランチャイズ店オーナーの間では「Tayler」が開発したこの機械は「ワザと壊れやすく作られているのではないか?」と皮肉も込めて噂されていたそうです。

アイスクリームマシンのメーカー「Tayler」(画像:Tayler公式サイトより)
一方で2年前から、同マシーンの故障を検知し、店舗スタッフに知らせてくれる「Kytch」製の診断用デバイスが多くの店舗で採用されていました。
最盛期には全米30州にあるフランチャイズ店が採用していたこの診断用デバイスは、2020年末に非公認であることを理由にマクドナルド本部が各店舗に使用停止を要求。代わりに同様の公認デバイスを使用するよう加盟店に促したことで、採用店舗が激減しました。
これに激怒した「Kytch」は、「Tayler」に技術を盗用され、わざと壊れやすい機械を作ることで修理業務を独占されたとして5月に訴訟を起こしています。

診断用デバイスメーカー「Kytch」はサイトでサポートを募っている(画像:Kytch公式サイトより)
政府介入、理由はメーカーの権利争い?それとも……?
『ニューヨーク・ポスト New York Post』によると、現在、訴訟は係争中。今のところ2社のサプライヤーにFTCから連絡はないようですし、同委員会が米マクドナルドの不正を疑っているということでもなさそうです。
政府機関が介入に至った経緯は、この2社の揉め事が原因とも言われていますが、今年7月にジョー・バイデン政権が打ち出した「修理する権利」に対する大統領令が根底にあるとも考えられています。
これは「修理の権利はメーカーではなく、消費者にある」とする規制案で、一部のメーカーに修理の権利を独占させずに自由競争を促していくというもの。
確かに、マクドナルドのフランチャイズ店がそれぞれ修理業者を自由に選ぶことができれば、壊れやすいアイスクリームマシーンであっても素早く修理することができ、「いつ行っても買えない」なんてことはなくなりそうですね。今後の動向に期待しましょう!
Sources:「
Today」「
The Wall Street Journal」「
New York Post」
<文/橘エコ>
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橘エコ
アメリカ在住のアラフォー。 出版社勤務を経て、2004年に渡米。ゴシップ情報やアメリカ現地の様子を定点観測してはその実情を発信中。