子なし専業主婦のセックスレス地獄。泣き疲れた35歳はどこへ向かう?|松本まりか『それ誓』
ドラマ『それでも愛を誓いますか』(ABCテレビ・テレビ朝日系)は、結婚8年セックスレス5年の35歳既婚女性・純(松本まりか)の物語。
第3話では、子どものいない専業主婦のつらさを問わず語りに話すシーンもある。夫とはどこかぎくしゃくし、夫は夫で高校時代の同級生と深夜に会ってキスを交わしている状態。とはいえ、深刻な不倫に陥っているわけでもない。
だが夫が遅くに帰宅した翌朝、彼女はせっせと朝食を作る夫に「おはよう」も言わず、気まずさを隠すかのようにちょっとはしゃぐ夫を冷ややかに見つめている。
そもそも、暗い。夫に対する態度が暗すぎる妻なのだ。「昨夜、どこに行ってたの」という一言が出せないから暗くなる。どよんと重い彼女の雰囲気に、観ているこちらがイライラするのが定番になりつつある。
そんな彼女は10歳年下の同僚・真山が気になっている。真山のほうは気になるを通り越してかなり惹かれている。あまり他人に興味を示さない真山だが、純に対しては別だ。そのことで先輩から注意を受けたりもしていた。それでも自分の気持ちは抑えきれない。
ある日、会社帰りに、ふたりは海の見える公園のようなところでクロスワードパズルの勝負をするのだが、途中で真山の携帯が充電切れになってしまう。
「リベンジさせてください」と言う彼に、純は楽しそうな笑い声をあげ、こう返す。
「元気になりました」
さらにこのあと、彼女は物憂げに海のほうに近づき、「海の匂い」とつぶやく。海の匂いがどうしたのかはわからない。“体言止め”である。そして夕暮れの空を見上げて「月」と体言止めの追い打ちをかける。
女性のキャラクターにもよるのだろうが、体言止めができる女はモテる。そう決めつけたくなるくらい、彼女には体言止めが合っている。同性だったら、「海の匂いがどうしたの」「月がどうしたの」と突っ込みたいところだが、男性は好きな女にそんなツッコミはしない。「オトナなら名詞だけつぶやくな。文章でしゃべれ」と言いたくもなる。だが、体言止めは、そのアンバランスな雰囲気が余韻につながり、女性自身の魅力と男性には映る可能性があるのだと思う。
しれっと思わせぶりと体言止めができて、なおかつ弾けるような笑顔を見せられたら真山くん、人妻に惚れ込んじゃうよねえと同情するしかない。

画像:ドラマ『それでも愛を誓いますか?』ABCテレビ・テレビ朝日 公式サイトより
家では悲しいレス妻、外では思わせぶり上級者
これ、男を惹きつける彼女の天賦の才なのだろうか。とにかく純という女性は、自分に好意をもってくれている真山の心を手玉にとるような言動をとっている。 元気になった、と聞いたら、「元気じゃなかったんですか」と言うしかない。彼女に好感を抱いている男性なら、当然、「僕が元気にしてあげたい」と思うだろう。それを見越して、元気になりましたと言う女性はなかなかのつわものである。思わせぶりテクニック上級者だ。
モテてしまう“体言止めの女”
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