登坂広臣、ØMI名義のソロ活動で見つけた“新たな旅”とは。新曲から読み解く
2021年10月15日にØMI名義でのデジタルシングル『ANSWER… SHINE』をリリースした、「三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE」(以下、三代目)のボーカル・登坂広臣。
2010年、『EXILE presents VOCAL BATTLE AUDITION 2 〜夢を持った若者達へ〜』でCHEMISTRYの「You Go Your Way」をペアで歌った今市隆二とともに最終審査へ進み、合格者となった登坂広臣。
音楽プロデューサー松尾潔によってすぐにレコーディングが行なわれた「Best Friend’s Girl」で「三代目」のボーカリストとして早くも同年11月10日にメジャーデビューすることになった。
元は美容師で、ボイス・トレーニングの経験すらなかった登坂がオーディションに合格し、夢を掴むまでのスピード感には驚いてしまう。
そんなリアル・シンデレラストーリーを叶えたデビュー曲を聴き返すと、「三代目」の楽曲の特徴であるストロングなサウンドの中で、登坂の歌唱は繊細ながらセクシーなフレージングとファルセットが美しく、思わず耳が喜ぶ。
当時から登坂はすでにスウィートでメロウな調子で独自の表現性を確立していた。
今回はLDHとイケメンをこよなく愛するコラムニスト・加賀谷健が、登坂のこれまでの歩みを振り返りつつ、2021年5月に本格始動したプロジェクト「CDL entertainment」とLDH史上最大規模のオーディション「iCON Z Dreams For Children」について考察する。
リアル・シンデレラストーリーだったデビュー
「Who Are You ?」という問いから
「三代目」のボーカリスト2人がソロデビューを果たしてからも、自身のルーツである「R&B」を追求する今市と「EDM」調の登坂というそれぞれの路線追求となるが、登坂本人も語るようにボーカリストとしての彼は、基本的にジャンルを選ばない自由な表現スタイルだ。 だから、どんな音楽ジャンルを追求するかと言うより、どんな音楽表現によって自分自身の世界が表現可能なのかと考える。そのためには、自分が納得がいくまで何度でも表現のスタートラインに戻ろうとするのが、凄いところだ。 「HIROOMI TOSAKA」名義で2020年1月8日に発売されたアルバム『Who Are You ?』では、自らに「Who Are You ?」と問いかけている。 まるでハリウッド映画を思わせる閉塞感のある取調室がスタイリッシュなMVでは、「あなたは誰だ!」と外国人俳優から何度も問いかけられ、答えが見つからず悶える姿があった。 「答えを見つけるまで 探し続ける」と歌詞にあるように、このときの登坂は確かに答えを見つけようとしていた。しかし表現の世界に明確な答えは当然ない。 そこで自分が理想と思うスタイルで独自の表現世界をコンセプチュアルに深めていこうと大胆に舵を切る。