さらに、口呼吸はそれ自体が体の免疫力を低下させる悪影響を及ぼすそうです。

口呼吸だと睡眠の質も悪くなる
「本来、鼻にはほこりやウイルスなどの侵入を防御するフィルター作用がありますが、口呼吸ではその作用が働かず、風邪や病気にかかりやすくなってしまいます。
また、鼻腔からは一酸化窒素が分泌されており、血管拡張作用や、分泌系・免疫系・生殖機能の向上などたくさんの役割を果たしています。ところが、口呼吸ではこの一酸化窒素が吸入できず、血管拡張作業が働かないせいで心臓病や脳卒中のリスクも高まると考えられているのです」
では、どうすればしっかり息を吐ききる呼吸ができるようになるのでしょうか。
ポイントとなるのは、「横隔膜を正しく動かす」ことです。
「肺には筋肉がないため、横隔膜などの呼吸筋の力を借りて動いています。息を吸うと横隔膜が収縮して下がり、肺に空気が流れ込む。逆に息を吐くと横隔膜が上がり、肺が押されて空気が出ていく。つまり、横隔膜が上下に動くのが正常な呼吸です。
ところが、現代のストレス社会では、緊張状態から息を吸って横隔膜が下がったままの人が大勢います。そのままでは呼吸ができないので、胸を反らす、肩や鎖骨を上げる、口を開けっぱなしにするなど、別の手段で肺に空気を入れることになる。すると、反り腰や鳩胸、いかり肩、首が前に出るといった無理な姿勢となって体に負担をかけ、腰痛や肩こりなどの痛みにもつながるのです」
つまり、「きほんの呼吸」を取り戻すことは、自律神経を整えて心身の不調を改善するだけでなく、呼吸時の姿勢や体の動きが変わることで、腰痛や肩こり、ひざ痛といった症状も解消できるのです。
そこで、この「きほんの呼吸」を身につけるために、大貫崇さんの近著『
疲れない体と心をつくる きほんの呼吸』から解説してみましょう。