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“ほっこり日常”や“食”のドラマが今ウケるわけ/「阿佐ヶ谷姉妹」「珈琲いかがでしょう」etc.

 11月8日から始まったドラマ『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』(NHK総合)が初回から早くも好評です。お笑いコンビ・阿佐ヶ谷姉妹が執筆したエッセイが原作となっているこのドラマ。彼女たちの存在の世界観そのままに、ほんわかとそしてユーモラスな生活が描かれています。
 視聴者の感想で多いのが「何も考えず見ることができてほっこりする」という声。気づけば昨今、テレビ東京系・BSテレ東で放映中の『スナック キズツキ』や、先日最終回を迎えた『東京放置食堂』(テレビ東京系)、『古見さんは、コミュ症です。』(NHK総合)など、どこかのんびりとしたゆるいドラマが増えています。  なぜ今、このようなドラマがウケているのでしょうか。

二次元の世界で先行していた“日常系”

 2000年ごろから、アニメ・マンガなど二次元の世界では“日常系”なるジャンルが人気を博しています。  日常系とは、いうなればドラマチックなストーリーよりも、英語で“スライス・オブ・ライフ”と言われるような、ゆるやかな展開の中で登場人物のキャラクターや日常の一コマ的なやりとりを主に味わう作品のことです。その中からアニメ『けいおん!』(TBS系)や『日常』(TOKYO MX/Eテレ)などのヒット作が生まれ、一つの人気ジャンルとして確立しました。  一方、実写ドラマではかつて『やっぱり猫が好き』(1988年~/フジテレビ系)や『すいか』(2003年/日本テレビ系)など、独特の日常的な空気感の作品がありましたが、どんなに強いファンが生まれようともいちジャンルとして定着するまでには至りませんでした。
『やっぱり猫が好き 2005』

DVD『やっぱり猫が好き 2005』(ポニーキャニオン)

中村倫也主演『珈琲いかがでしょう』は異例のヒット

 しかし最近では、上記で挙げた作品以外にも、コナリミサトさんの人気漫画原作の『珈琲いかがでしょう』(テレビ東京系)や、アニメも人気の『モモウメ』(日本テレビ系/Hulu)、他にも『デザイナー 渋井直人の休日』(テレビ東京系)……など、二次元で言う日常系の雰囲気に似たゆるいドラマが数多く制作されています。
 『珈琲いかがでしょう』

Blu-ray BOX 『珈琲いかがでしょう』(Happinet)

 なかでも『珈琲いかがでしょう』は、主人公の珈琲店店主・青山を演じた中村倫也さんの温かい雰囲気も相まって、ビジュアルブックも発売されるほどの人気に。放映中も、見逃し配信の再生数が196万回を突破し、テレビ東京の番組の1週間の再生数として過去最高を記録するなど、多くの人々の心を虜にしました(物語が進むにつれ、ゆるさとは別の方向に進む作品ではありますが)。
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きっかけは『孤独のグルメ』? 食ドラマの影響
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