――腸内細菌のビジネスにされるときに、アスリートのうんちを集めるところからスタートしたそうですね。
鈴木:協力者の1人目は、ラグビーの松島幸太朗選手でした。「うんち頂戴」と言うと、最初は彼も「何を言っているんですか」という反応だったんですが、将来のアスリートのためにもなるんだよね、と話して半強制的にうんちをもらいました。
――断られたこともあるのでしょうか。
鈴木:ありますよ。断られた理由は分からないんですが、自分のデータを取られるのが嫌なのかもしれないし、それぞれの健康状態もきっとあるでしょうから。実際、うんちとか生体情報で身体の異変を推測できることもあります。某国のトップが海外で会談をしたときに、排泄物などすべて回収する、という噂もあるほどです。
もう5年間ぐらいずっと地道にアスリートのうんちを集め続けているんですが、検体数(うんちの数)は1700を超えています(2021年7月時点)。
腸活サプリメント「AuB BASE」
――自己資金4000万円や投資家から調達した資金が底をつきそうになるという危機もあったそうですね。
鈴木:研究ってお金がかかるんですよ。あと僕らは売るものがなかったので。たとえばサプリメントを作ろうと思えば、誰だってパッと作れますけど、僕たちは研究の信念のもとにプロダクトを出し続けるという誇りを持っています。
4年間研究して得られた結果は、アスリートだけじゃなく一般の方々にも重要だろうと。「アスリート・ビオ・ミックス」という独自の菌素材を開発して、それをサプリメントとして展開しはじめました。
――研究だけのフェーズから、研究をしながらビジネス、というところに移ったのですね。今後の展望はありますか?
鈴木:去年(2020年)、元オリンピック選手から新しい機能を持つビフィズス菌の菌株(AuB-001)を発見したんですが、それを原材料にした商品を今後展開することも考えています。
少し時間はかかってしまうんですが、研究結果をもとに信頼してもらえる良いものを出していきたいなと思ってます。
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<取材・文/管理栄養士 梅原しおり>