柳楽優弥の動きがビートたけしに似ていてびっくり。たけしの師匠・深見千三郎役の大泉洋がものすごくかっこよくてしびれる。ビートたけしの黎明期を綴った自叙伝『浅草キッド』がNetflix (ネットフリックス) で映画化されて配信中。 脚本、監督は劇団ひとり。たけしを敬愛し、原作に描かれた時代の浅草の演芸の世界に憧れて、自作『陰日向に咲く』や『青天の霹靂』にも取り入れているだけあって、芸や劇場に対する愛情のこもった作品になっている。 昭和40年代、浅草フランス座のエレベーターボーイをしていたタケシ（柳楽優弥）は劇場主であり人気芸人の深見（大泉洋）に憧れて彼の弟子になる。時代はじょじょに変わってテレビの時代がやってくる。深見は決してテレビに出ないという矜持（きょうじ）をもっていたが、劇場の集客は減って経営が悪化していく。タケシはフランス座の元・先輩のキヨシ（土屋伸之）と漫才コンビ・ツービートを結成、テレビに出はじめ人気者になっていく。 どんなに売れてもタケシの芸の原点は師匠。その魂はいつまでも心のなかで燃え続けている。師匠やその妻で踊り子だった麻里（鈴木保奈美）やちょっと気になる踊り子・千春（門脇麦）や劇場のスタッフたちと過ごした日々はいつまでも大切なもので……。 ビートたけし＝北野武といえば、誰もが一目置く大御所。芸人のみならず、映画も撮るし、絵も描くし、小説も書く、才能に溢れた人物だ。常に舌鋒鋭く、世の中を斬りまくり、笑いのめしている人物という印象のたけしにこんなピュアな若い時代があったのだなあと彼への見え方が変わりそう。