「お金の面では、私たちはとても恵まれていました。父は大企業に勤めていましたし、小さい頃からお金に不自由したことは一度もありません。だから、苦しい境遇に立たされた女性のことを不憫に思ってしまう父親の気持ちは、なんとなくですが、理解できました」

S子さんは、
今後は二度と身体の関係を持たないことを条件に母親には内緒にしておく約束を父親としました。
「父は昔から困っている人を見ると手を差し伸べずにはいられない優しい性格をしているんです」
S子さんはそう言います。もちろん父親にも下心が全く無かったというわけではないでしょう。でも、なんとか力になってあげたいと思う気持ちはとても尊いものです。
S子さんの話によると、父親はそれから数回ほど、その女性と会っていたようですが、しばらくすると遠方に引っ越してしまったそうです。程なくしてSNSのアカウントも削除していて、今は行方知らずになっているのだとか……
今の時代、いつどこで不遇な境遇に陥ってしまうか分かりません。S子さんの父親のしている行為は手放しに称賛できるものではありませんが、かと言って、一方的に非難できるものでも無いでしょう。
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<文/浅川玲奈>
浅川玲奈
平安京で生まれ江戸で育ったアラサー文学少女、と自分で言ってしまう婚活マニア。最近の日課は近所の雑貨店で買ってきたサボテンの観察。シアワセになりたいがクチぐせ。