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“飲む中絶薬”がやっと日本にも?780円の薬なのに「10万円に」と言う医師の利権

中絶薬は、ごく初期で人工流産を引き起こす

 1980年代になると今度は「中絶薬」が開発され、中絶手術が不要になるとして脚光を浴びました。中絶に反対する人々は、「薬だけで終わらせられるとなると中絶が増える」などと批判しましたが、中絶薬は手術に比べてより早い段階で妊娠を終わらせることができるため、世界の「中絶」イメージは変化していきました。  カトリック教徒が多いアイルランドやアルゼンチンなど、これまで中絶が厳禁されてきた国々で、次々と中絶が合法化されているのは、妊娠のごく早期に中絶(人工流産)が可能になったことが大きく影響していると考えられます。

「安全な中絶」は人権の一部

 それと並行して、「女性の健康と権利を守る中絶」という考え方も広まっていきました。21世紀に入ってから国連人権規約には、「女性と少女の安全な中絶の権利」が明確に書き込まれるようになりました。今や女性にとって「安全な中絶」が受けられることはまさに「人権」の一部なのです。  現在、WHOでは初期中絶については中絶薬か吸引が「安全な方法」だとしているため、世界の女性たちは自分の都合や好みで2つの「選択肢」の中から選ぶことができます。  中絶薬は人工的に流産を引き起こす薬なので、中絶薬の方がより「自然」だと感じる女性も多く、中絶が早期化されるため女性たちの心身の傷を最小限に抑えることもできます。一方で、吸引の方が手早く後を引かずに終わるので、そちらを好む女性たちもいます。  日本の女性に、この選択肢がないのは、とてもおかしなことなのです(次回に続く)。 <文/塚原久美>
塚原久美
中絶問題研究家、中絶ケアカウンセラー。大学卒業後、翻訳者/ライターに従事。出産後、中絶問題の学際研究を始め2009年に金沢大学大学院で博士号(学術)、後に心理学修士号と公認心理師、臨床心理士資格も取得。2020年、RHRリテラシー研究所を立ち上げる。著書に『中絶技術とリプロダクティヴ・ライツ-フェミニスト倫理の視点から』(勁草書房、2014)、翻訳書に『中絶がわかる本』(アジュマ・ブックス、2021)など。twitter:@kumi_tsukahara
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