『おいハンサム!!』は、漫画家・伊藤理佐の作品群から様々なエピソードをリミックスして映像化したものです。
食×恋を描いた『おいピータン!!』&『おいおいピータン!!』が中核。それ以外にも、結婚を目指す娘と昭和の親父の生態を描いた『渡る世間はオヤジばかり』に、OLの七転八倒な日常を描いた『あさって朝子さん』などのエピソードも散りばめられています。

伊藤理佐『おいピータン!!』講談社
個人的におすすめなのは、三女・美香の題材に取り入れられている『チューネン娘』。30歳の女・ヤマダアイコの恋と仕事模様を描いた作品です。
筆者は伊藤理佐フリークで、多くの著作を愛読してきました。今回ドラマ化にあたり改めて前述の作品たちを読み返しましたが、初版が20年近く前のエピソードであっても、共感できるからすごい!
それは、時代にかかわらず変わることのなありふれた生活と、その根底にある人間の欲を描いているからでしょう。人間って……そもそも自分って年を重ねても結局そんなに変わらないことに気づかされます。そして、なぜか「私このままでいいんだ」と思わせてくれる肯定感。
伊藤理佐作品は、日常に溢れているちょっとしたモヤモヤを受け止める力をくれるバイブルなのです。『おいハンサム!!』は、そんな伊藤理佐ワールド全開で、かつドラマとしても面白く仕上がっています。
キャラクターたちが、とにかくコミカルで愛らしい『おいハンサム!!』。散りばめられた伊藤理佐ワールドに共感しながら笑い、観たあとはなんだかちょっと元気になれるドラマを、今からでもぜひご覧ください。
<文/鈴木まこと(tricle.llc)>
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日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間でドラマ・映画を各100本以上鑑賞するアラフォーエンタメライター。雑誌・広告制作会社を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとしても活動。X:
@makoto12130201