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横浜流星の魅力は“繊細さ“にある!映画『嘘喰い』『新聞記者』etcから読み解く

万人向けの『嘘喰い』に

 ここまで横浜流星の魅力を中心に賞賛したが、肝心の映画としての出来はどうか? と問われれば、「万人受けの『嘘喰い』として十分にアリ!」と間違いなく及第点以上はある内容だった。  原作は命懸けのギャンブルにまつわる暴力性も見所になっていたが、今回の映画ではルールのエグさはそのままでも画としての表現はマイルドになっており、お子さんや女性でも不快感なく観られるようになっていると思う。これは幅広い層に届けるためのアプローチとして、個人的には肯定したい。  ギャンブルは原作から特にシンプルなものが選ばれている印象で、画的にも良い意味でわかりやすく、あまり頭を使わずに観られる。原作ではビル内で行われていた戦いが、森の中へと舞台が変更されルールもより厳しいものへと変わっているのも、アレンジとして面白い。原作を未読の方には、想像もし得ない勝ち方をするカタルシスも十分にある。  苦境に陥ってしまう心理はとても丁寧に描かれているし、その印象を覆して「相手の嘘を喰ってしまう」までの最低限のロジックもあった。

原作者も「面白かった」と感想を監督に伝えた

sub4 中田秀夫監督作は、近年の『スマホを落としただけなのに』(2018)や『事故物件 恐い間取り』(2020)もあまり評判は芳しくなかったが、それでもエンタメに合う堅実な演出があり、今回も豪華キャストを最大限に活かす力が存分に発揮されていた。それらにある「ちょっとだけ隙のあるキュートな印象」も、個人的には好きだ。  ちなみに、原作者の迫稔雄も、完成披露試写の後に「面白かったです!」と中田監督に直接感想を告げていたそう。さらに、迫稔雄は「横浜流星は次回作にて『エアポーカー』をご所望」「次回作やるなら僕が脚本やりますよ」ともツイートしている。  その「エアポーカー」とは、『嘘喰い』ファンの間でも屈指の傑作ギャンブルと呼ばれているエピソード。もちろん続編が本当に作られるかどうかはわからないが、原作者自身が脚本製作にも意欲的ということであれば、その再現度や完成度にも期待が高まる。筆者も本作がヒットして、続編が作られることを心から期待している。 【画像をすべて見る】⇒画像をタップすると次の画像が見られます <文/ヒナタカ>
ヒナタカ
WEB媒体「All About ニュース」「ねとらぼ」「CINEMAS+」、紙媒体『月刊総務』などで記事を執筆中の映画ライター。Xアカウント:@HinatakaJeF
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公開情報
『嘘喰い』は2月11日より全国ロードショー
配給:ワーナー・ブラザース映画
©迫稔雄/集英社 ©2022 映画「嘘喰い」製作委員会
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