岡田将生、“ぱっとしない印象”から世界へ躍進。アカデミー賞ノミネート作で見せた怪演
2022年2月8日、今年の米アカデミー賞ノミネート作品が発表され、濱口竜介監督作『ドライブ・マイ・カー』が作品賞に日本映画で初めてノミネートされるという快挙を成し遂げた。
「ああ、この人のこの演技があったから、アカデミー賞にノミネートされたんだな」
密かにそう思ったのは、あるひと場面で岡田将生が見せた名演(怪演)があったからだ。今回は「イケメンと映画」をこよなく愛する筆者・加賀谷健が、恐ろしくも美しい妖艶な魅力を放つ本作の岡田について解説する。
【画像をすべて見る】⇒画像をタップすると次の画像が見られます
非常に芸達者な俳優たちがそれぞれ名演を見せる濱口竜介監督作『ドライブ・マイ・カー』で、いったい誰が一番凄いかと聞かれたら、筆者は迷わず岡田将生だと答える。あれだけの名演というか、怪演を見せた岡田が米アカデミー賞助演男優賞にノミネートされていないのは、にわかには信じがたい。
最多ノミネートを誇り、下馬評では作品賞受賞本命とされているジェーン・カンピオン監督作『パワー・オブ・ザ・ドッグ』で、西部の男たちのマッチョな世界にはそぐわない柔和な存在感が素晴らしかったコディ・スミット=マクフィーより、俄然、岡田を推したい。
確かに、ここ最近の岡田はどこかぱっとしなかったところがあった。映画、ドラマ問わず、質の高い作品に出演し、見応えのある演技をしていても、はまり役をなかなか見つけられないでいる印象が否めない。けれど、それだけに岡田には、自分に一番フィットし、自分を一番光らせてくれる役がくるタイミングをじっと待つ辛抱強さを感じるのだ。
『花ざかりの君たちへ~イケメンパラダイス』(2007年、フジテレビ系)に出演していた頃は、少し時代を感じさせるもっさり天パヘアーでひょろっと背が高いイケメン男子だった岡田は、いやぁ、そりゃもうチャーミングで可愛らしく、ついつい「まー君」なんて勝手に愛称を付けて呼んでみたくもなった。
『ハルフウェイ』(2009年)や『雷桜』(2010年)など、素晴らしい主演映画にも恵まれ、ただのイケメン俳優にとどまらず演技派の一面も見せながら、手堅くキャリアを積み上げてきた。
一方で以降これこそ代表作だと言える作品に当たらない感じもあった。どの役も魅力的なのに、でもどこか決定打に欠けるのは、気のせいだろうか。けれども、岡田将生には辛抱強さがある。それがちゃんと底力を見せつけてくれた。

米アカデミー賞助演男優賞ノミネートを巡って

手堅くキャリアを積むも、どこか決定打にかける印象
【公開情報】
『ドライブ・マイ・カー』は全国超ロングラン上映中。
※本作は「PG-12」のレイティングが定められています。
『ドライブ・マイ・カー』は全国超ロングラン上映中。
※本作は「PG-12」のレイティングが定められています。