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残り2週の『カムカム』に私たちがのめり込む理由。倍速視聴の時代にもマッチ

多くのファンを魅了してきた連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(NHK総合・月〜土曜朝8時〜ほか)が、4月8日(金)に最終回を迎えます。残すところ、わずか2週間。もう既にロスになるとしか思えないほどにどっぷりハマった筆者が、『カムカム』が視聴者を魅了したワケを探りながら、これまでの展開を振り返ります。
「カムカムエヴリバディ」オリジナル・サウンドトラック

『連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」オリジナル・サウンドトラック 劇伴コレクション Vol.1』(SMJ)

母から娘へ繋がれるバトン。ここまでのあらすじは?

本作は、異色のヒロイン3人交代制で、昭和・平成・令和の時代をまたぎ紡ぐ100年にわたる家族の物語です。ヒロインのバトンは、安子(上白石萌音)から安子の娘・るい(深津絵里)。そして、るいの娘・ひなた(川栄李奈)に繋がれました。 穏やかで質素な日常から、悲惨な戦争、そして高度成長期までの昭和。安子は実家の和菓子屋であんこ作りを大切に、日々を生きていました。しかし、戦争により家族、そして夫を失ってしまいます。るいとふたりで過酷な戦後を生き抜こうと奮闘しますが、悲しいすれ違いにより生き別れてしまう安子たち。その後、安子はアメリカに渡ったとされています。
成長したるいは、岡山の生家を出て独り立ち。安子と同じように日々の暮らしを大切にしていました。そして、ジャズトランぺッターの “ジョー”こと錠一郎(オダギリジョー)と恋をします。病によりトランペットを吹けなくなったジョーをるいが支え、家族になりました。そして、娘のひなた、息子の桃太郎が誕生。 ひなたとるいの関係は良好で、ひなたは戦争を経験していない女の子としてすくすくと成長します。時代は昭和から平成へと移り変わり、ひなたは恋をして、失恋もして、いまは仕事のために英語の勉強に力を注いでいます。 3人のヒロインたちは、特殊な生い立ちなわけでも、特殊な能力をもっているわけでもありません。ただ、誰もが共感できる“日々の暮らし”を大切にしているのです。普通のヒロインが、時代時代を懸命に生きる姿こそが多くの共感を呼んでいるのではないでしょうか。また時代の移り変わりも緻密に表現されており、その時々の世相を反映されていることも特徴的です。登場人物たちの髪型や服装、読む本に漫画、流れる音楽やドラマに至るまで。そこに感じる懐かしさに、愛おしさを感じずにはいられません。

目まぐるしいのに情感たっぷり、だから面白い

安子、るい、ひなたの物語と共に、第102話までで75年間の出来事を描いています。それぞれのヒロインの生い立ち、パートナーとの出会い、暮らしの確立まで、まるでジェットコースターに乗っているかのような早い展開で、物語は進んできました。朝ドラにしては珍しい、この“早い展開”が、動画コンテンツが溢れ、中には倍速で視聴する人も増えているという今の時代にマッチしたのかもしれません。 でも一方で、それは決して起こった事柄を単に羅列するような展開ではありません。人には突然、人生が大きく動くようなことが起こる。そんなポイントポイントでわき上がる登場人物たちの感情を、丁寧に表現していることが特徴的です。 『カムカム』は出来事と心情の緩急が秀逸で、目まぐるしいのに情感はたっぷり。展開が早いだけでなく、登場人物の描き方の密度がとても濃いからこそ、視聴者は引き込まれてしまうのでしょう。
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母娘の繋がりが深く描かれている
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