
胸をフラットにするTシャツ(税込3289円)
―― 一連の取り組みのなかで大変だったことはありますか?
一番はフィッティングですかね。ニッセンオリジナル商品の「胸をフラットにするシリーズ」では、6回ほどのフィッティングを繰り返しました。多くのFTM(出生時に割り当てられた性別が女性で、性自認が男性の人)の方が「ナベシャツ」と呼ばれる胸を潰すインナーを着ているのですが、締め付けが強く、かなり苦痛で……。
一般的なブラジャーだと2段ホックだと思うのですが、ナベシャツは8段ものホックが付いていて、さらにパワーネットを使って締め付けるんです。フィッティングした社員は、まず着ることに悪戦し汗をかいていました。その後、ナベシャツを着用したまま仕事していたのですが、1時間も我慢できませんでした。
――実際に経験して当事者の気持ちを知ったのですね。どのようにそれらの課題を改善しましたか?
ホックやパワーネットで力に任せて押し付けなくても、胸がフラットに見える方法を検討しました。ほとんどのナベシャツは前もしくは横から潰す仕様なのですが、最終的に潰すのではなくパワーネットを背面に裏打ちし、後ろに引っ張る方法で商品をつくりました。
――商品のサイズ展開も豊富なのですか?
胸をフラットにするシリーズは、最初はM、L、2L、3Lの4サイズを展開していました。商品を販売すると、トランスジェンダーのお子さんをお持ちのご両親から「子どもでも着れるサイズがほしい」との要望をいただき、Sサイズを追加しました。
カラーは黒のみの展開だったのですが、Sサイズをつくったところ「学校では白のインナーが推奨されている」との声もいただくようになり、現在は黒と白の2色を展開しています。
どんな人でも心地いいと思える衣服を着て過ごせる社会を
――今後、どのような商品を増やしていきたいですか?
お客様の声をより反映させた商品を増やしていきたいです。「胸をフラットにするシリーズ」では、いただいた要望をもとにサイズや色を追加したのですが、まだ声を取り入れていない商品もあります。例えば、一年を通して快適に過ごしていただけるような、季節ごとの素材のバリエーションを増やしたり、Vネックなど形状の異なる商品も増やしていけたらなと考えています。またMTF向けのブラジャーに関しては、この半年間フィッティングを重ねてきた商品があるので、年内中の販売を目指しております。
――as isを通してどのような社会になることを願っていますか?
どんな人でも心地いいと思える衣服を着て過ごせる社会を願っています。トランスジェンダーだから、下着の不快感や苦しさを我慢しなければならないのはおかしいと思うんです。なので我々は、みなさんの身近な存在である下着を舞台にどう悩みを解決していけるかを考えています。
<取材・文/Honoka Yamasaki>
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レズビアン当事者の視点からライターとしてジェンダーやLGBTQ+に関する発信をする傍ら、レズビアンGOGOダンサーとして活動。自身の連載には、レズビアン関連書籍を紹介するnewTOKYOの「私とアナタのための、エンパワ本」、過去の連載にはタイムアウト東京「SEX:私の場合」、manmam「二丁目の性態図鑑」、IRIS「トランスジェンダーとして生きてきた軌跡」がある。また、レズビアンをはじめとしたセクマイ女性に向けた共感型SNS「PIAMY」の広報に携わり、レズビアンコミュニティーに向けた活動を行っている。
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