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ダブル不倫。その夫や妻4人全員が同じ職場で気まずい泥沼に…

素直に白状した夫

 その晩、帰宅した夫はエリさんの顔色をうかがって怯(おび)えているように見えた。 「どういうことなの、説明してちょうだいと言いました。すると彼はガバッと土下座をして『ごめん。女性と一緒だった』と。  いきなりそんなことを言われてこっちがびっくり。まさかそんなふうに白状するとは。誰と一緒だったのよと言ったら、私の同期で、同じ部署のサキコの名前を出したんです。頭が真っ白になりました。何も考えられなかった。彼は土下座したまま、しゃくりあげていました。泣きたいのはこっちだと怒鳴りつけました」 土下座 サキコさんは30代半ばで5歳年下の後輩・ケンタさんと結婚した。当時、エリさん、サキコさん、ケンタさんの3人は同じ部署だった。結婚後はケンタさんが異動し、エリさんの夫とは隣同士の部署。つまり、非常に近いところでダブル不倫が行われていたのだ。 「サキコは『私もエリ夫婦みたいに幸せになる』と言っていたんですよ。それなのに結婚数年で、彼女はうちの夫と関係をもっていたわけです。夫だってサキコが私と親しいことを知っていた。それなのになぜと聞いたら、サキコはケンタと結婚生活がうまくいっていなかった、それを夫に相談していたそうです。  相談に乗りながら関係をもつことがいいのか悪いのかわからなかったのかと問い詰めました」  好きなんだよ。夫はそう言った。エリさんは聞き返した。サキコに本気になってしまったんだと夫は繰り返した。妻の前でよくそういうことが言える、あなたはそういう人じゃなかったのにとエリさんは泣いた。 「『エリの前ではいい人すぎたんだ、オレ。そうでないとエリが逃げていくんじゃないかと怖かった。でもサキコの前では素の自分でいられる』と夫は言いました。もう話しているのが嫌になって、その日はそのまま娘と一緒に寝ました」

相手女性の夫から連絡が

 翌朝、起きると頭痛がひどかった。ほとんど寝られなかったのだ。うとうとすると悪夢を見た。夫を追いかけていくと、突然、誰もいない崖っぷちに立っているような夢だ。 「仕事を休むわけにはいかないので出社すると、ケンタから連絡がありました。昼休みに誰もいない応接室でケンタと話すと、やはりサキコが一昨日、帰ってこなかったと。そして昨夜、うちの夫との関係を白状されたというんです。ふたりで示し合わせたんでしょう。  ケンタはわなわなと震えながら、『オレ、許せない。だけど別れたくない』って。先輩はどうなんですかと言われて、別れるという選択肢はとりあえず考えていなかったと答えました。まだ衝撃を受け止められないのに、その先のことまで考えられない」  4人で話しましょうとケンタさんは言った。4人で話すなんて、あなたはそんなことができるのかと言うと、職場にバレたらまずいでしょとケンタさんが吐き捨てるようにつぶやいた。 「あ、そうかと思いました。意外とケンタは大人でした。ケンタはとにかく『どちらかが離婚したら、あのふたりは一緒になろうとします。だから僕たちは離婚してはいけないんです』と強調しました。  うちは娘がパパッ子だから、さすがに夫も娘を振り捨てるようなことはしないと思うけどと言うと、『ふたりは今、恋のまっただ中にいるんです。理屈なんて通じませんよ』って。なるほど、とケンタを評価しました」 社内恋愛 その週末、ケンタさんとサキコさんがエリさん宅に来ることになった。エリさんの娘はその日、友人の家に遊びに行くことになっていた。 「サキコとケンタは結婚したばかりのころ、何度かうちに来たことがあるんです。これからは夫婦同士でつきあおうと言っていたし、他の友人たちと一緒にキャンプに行ったこともある。それなのにどうしてこのふたりがつきあっているのか、私はまだ半信半疑でした」
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相手女性と自分の夫をひっぱたいてしまった
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