Fashion

どこでも服を買えるのに、自分にあう服が「売ってない」と感じる理由とは

わたし史上最高のおしゃれになる!』『お金をかけずにシックなおしゃれ』などの著書があるファッションブロガー小林直子さんが、愛用しているアイテムをご紹介します。

服が買えるエリアは飛躍的に増えたけれど…

手作り作家の作品

たくさんの服が売られ、どこでも簡単に買える時代
(画像はイメージです)

 私が子供だった昭和の時代、洋服は自分で行ける範囲内のところで買うのが一般的でした。  学校へ着ていく服を買いたいなと思ったら、近所の駅前商店街にある子供服を扱う洋品店や、駅の近くにあるスーパーマーケットの2階にある専門店エリアへ。ピアノの発表会で着るドレスや、毎年行く夏の旅行のための「今年のワンピース」と「今年のサンダル」を買いたいときに行くのは、車へ乗って出かける町田の大丸や、横浜の高島屋といったデパートでした。  このころは、簡単に行ける範囲のところで買うのが普通で、それ以外にどこかを探して買うなんてことは考えもしませんでしたし、それで困るということもありませんでした。  あれから数十年たった今、服、靴、バッグが買えるエリアは飛躍的にふえました。  以前からあるデパート、そして駅ビルの各ショップ、郊外の大型ショッピングモール、ロードサイドの量販店、大型スーパーマーケットの婦人服売り場、都会の街のセレクトショップや古着屋、セカンドハンドのお店、アウトレットの店舗などの肉体が行けるお店の数々、そして肉体が行くことはできないインターネット上に構える各種ECサイトの多くのショップ。  特にインターネットの出現によって、日本のみならず世界のほとんどものが、お金があれば家にいながら買える時代になりました。これら店舗で扱う商品量、情報量とも膨大で、ときたまこんなに買う人が日本にいるのかしら、在庫は大丈夫なのかしら、と心配になってしまうくらいです。  少なくとも私はそう認識していました。しかし今から4年ぐらい前ほどでしょうか。当時50代の女性が「服が売っていない」と私に訴えてきたのです。  私は一瞬意味がわからなくて、「デパートに売っていますよ」と答えましたけれども、その方は何やら納得いかないご様子でした。

世界の見方が違うだけではないのか

 こんなにたくさんいろいろなものが売られていて、簡単に買えるのに、服が売っていないと感じている人がいる。それはどういうことなのでしょうか。  私は服がたくさん売られていると思っているし、そう感じているし、実際に服がたくさん売られているところに出くわす。服が売っていないと言ったその彼女はきっと、服は売っていないと思っているし、そう感じているし、服がたくさん売られているところにたどりつかない。この差はなんだろう、と考えていたら、ある考えが浮かびました。
手作り作家の作品

「ある」と思えばそれが見えてくる。「ない」と思っていれば見えてこない

 私は服がたくさん売っているという前提でこの世界を歩いているので、どこでも売っている服を見つけられる。  きのう行ったホームセンターでもディッキーズのパンツを見たし、美術館の併設ショップでも、絵画がプリントされたTシャツが売られているのに気づいた。インスタグラムを見ていても、ショッピングのマークがついた新しいブランドの投稿が目に入る。  あると思えばそれが見えてくるし、ないと思っていれば見えてこない。結局、何が違うかといったら、世界の見方が違うだけではないのか。  そうだよね、そこの差だよね、なんて考えながら、いつも行く図書館の前の園芸店へ行ったら、そこでもまた、洋服を見つけました。
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自分にぴったりの服はこの世界に必ずあるという眼
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