それは、彼がトイレに立った時の出来事。リビングにいた紗枝さんの耳に、「ぬあー」と言う、か細い猫の声が耳に飛び込んできました。声がする方向は、「寝室だから入らないで」と言われていた隣の部屋。
なんとなく嫌な予感がした紗枝さんは、彼に怒られることを覚悟し、隣室へ。すると、そこにはリードで繋がれ、自由に身動きができずに苦しんでいる猫の姿が目に入ってきたといいます。
「猫用のトイレはなく、ペットシーツが敷かれているだけで、近くには粗相の痕がたくさん。リードは水を飲む、ご飯を食べるといった必要最低限の行動ができる長さでした」
衝撃的な光景を目の当たりにした紗枝さんは、愕然。すぐさま彼を問いただすと、意外な真実が明らかになりました。
「猫は元カノが置いていった子。彼は仕方なく育てていると言いました。本当はそんなに猫は好きじゃないけれど、猫の写真をマッチングアプリのプロフィールに載せたら女性から連絡が来ることが増えたので、猫好きだと言うようになったそうです」
嘘をついていたことはもちろん、猫をぞんざいに扱っていたことに怒りを覚えた紗枝さんは猫を引き取り、彼と別れることにしました。
「引き取った猫は今、私の家で暮らしながら里親を待っています。今まで、人の都合に振り回されてきた分、これからは思いっきり幸せになってほしい。そして、動物のかわいさを自分のアピール材料として使うような人が減ってほしいです」
知り合ったばかりの相手が口にする「好き」をどこまで信じるか。紗枝さんの体験談は、そんなことを考えるきっかけを与えてくれます。
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<取材・文/古川諭香>
古川諭香
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:
@yunc24291