すると時計をチラッと見た彼に「よかったら、ここから30分程のところに僕が行きつけの整体院があって、ギックリ腰の処置が上手くておすすめなので行きませんか?僕は仕事があるので、タクシー乗り場まで送って失礼させてもらいますが」と言われたそう。
「とにかくこの痛みをなんとかしないと何もできないと思い、ワラをもつかむ思いで整体院を紹介してもらうことにしたんです。普段だったらそんなの怪しいんじゃないか?と疑うのですが、彼の優しさがあまりにも自然だったので信じても大丈夫かなと思いました」
また改札口を出るまでの道のりを、痛さに震えながら彼の腕につかまりつつ歩くと…。
「すでにタクシーが呼んであって、最短距離で乗れるように止まってくれていました。そこで彼とはお別れして、整体院の前まで着くと、サッと受付の女性が出てきてくれて、もう、例の彼がすっかり話を通してくれていてとてもスムーズに施術してもらえたんですよ」

ギックリ腰になりたてでまだ熱を持った部分を冷やし、足の付け根部分をじっくりとマッサージしてもらうと、大分痛さがゆるみました。
「まだ痛いは痛いですが、ゆっくりなら座ったり立ったりはできるようになっていて驚きました。以前ギックリ腰になった時なんて2日間程は何をするのも激痛で大変だったのに」
そしてマッサージ代の支払いをしようとしたら、例の彼が払ってくれたと聞いて優佳さんは驚いてしまいました。
「名も名乗らないで、そんな親切な人っている?嘘みたいと思いました。しかもタクシー代もいつの間にか払ってあったし、あの人何者って感じでした」