最後のエピソードは飯塚瞳さん(仮名・28歳・派遣社員)の場合。

「昨年末から、仕事先で知り合ったY(33歳・会社員)と付き合いだしたのですが、Yのご両親が千葉県でスイカを作っているんですよ」
実は瞳さん、一人暮らしを始めてから自ら進んで果物を買って食べたことがないそう。
「まぁ実家に居る頃にお母さんが出してくれたら食べていましたけど。だって果物って値段が高い割に、そこまで美味しい訳じゃなくないですか? もっと安く買えるコンビニのシュークリームやプリンの方が手軽で美味しいし、果物って皮剥いたり種があったり面倒臭いなってつい思ってしまって」
ですがそんなある日、夜になっても暑さがおさまらならない中、仕事帰りに汗をダラダラかきながらYさん宅に行くと…。
「Yが『お疲れ様! とりあえずこれ食べてみ』とご両親から送られてきたスイカをキューブ状にカットして、フォークと一緒に出してくれたんです」
ひと口食べると、とっても冷えていて甘くてジューシーで、震えるほど美味しかったんだとか。
「なんていうか身体に染み渡る幸せな味で、止まらなくなって次から次へと食べまくってしまったんですよね」
自慢のスイカを美味しそうに食べてくれた瞳さんを見て、Yさんもご機嫌になり、それからいつも冷蔵庫にキューブ状に切ったスイカを冷やしておいてくれるようになりました。
「スイカはいつ食べても美味しいのですが、やっぱり地獄みたいに暑い日に食べるのが最高ですね。Yがいつも私が食べやすいように切って冷やしておいてくれるのも嬉しくて」
酷暑とYさんのご両親のお陰で、スイカの真の美味しさ気づくことができたという瞳さん。
「すっかりスイカにハマってしまい、今では暑くても『お、今日はスイカが美味しい日だな』と前向きにとらえられるようになりました」
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<文・イラスト/鈴木詩子>
鈴木詩子
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:
@skippop