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あっ好き…「田中圭と大型犬」の組み合わせが幸せすぎる。映画『ハウ』の魅力

田中圭がいない時も、ずっと頭の片隅に置ける

© 2022「ハウ」製作委員会 前述した通り、メインで描かれるのはハウの旅路であるため、「田中圭がいないシーンが多い」内容でもある。だが、その間にハウは一生懸命、彼に辿り着くための旅を続けていて、人々を癒していく。主人公の可哀想すぎる境遇を観てきたことに加え、田中圭が「放っておけない」存在感と魅力を持つこともあって、彼が画面に映っていない時でも、ハウは観客と同様に主人公の存在を常に頭の片隅に置けるような構図があるのだ。  そして、田中圭演じる主人公は少しずつ、長い時間をかけて、ハウがいない日々を受け入れていくことになる。観客はその長い時間の中でも、ハウが「いたこと」で人々を癒していく様を観ているので、ハウが「いなくても」前向きになろうと努力する彼のことも、相対的により愛おしい存在として映るのだ。

池田エライザの「変わり者」の同僚にも注目

© 2022「ハウ」製作委員会 その田中圭との心の距離を縮めていく同僚を、池田エライザが好演していることも重要だった。  田中圭は「点字ブロックの上に置かれた自転車をすべて移動させようとする」など、善人すぎてちょっと度も超えた(でも正しい)行動もしている。池田エライザ演じる同僚も職場では浮いた存在であり、彼女自身も悩みを抱えているからこそ、変わり者同士の2人はわかりあっていけたのだと、つぶさに感じさせるのだ。犬のハウ以上に池田エライザに自己を投影できる人は多いだろうし、2人が飲み屋で交わす言葉が金言になる人もきっといるだろう。  そして、結末はとても「優しい」と思えるものだった。これまでシビアな「ツラい現実」を描いてきたからこその説得力も担保された、感動的なラストまで、ぜひ見届けてほしい。 <文/ヒナタカ>
ヒナタカ
「女子SPA!」のほか「日刊サイゾー」「cinemas PLUS」「ねとらぼ」などで映画紹介記事を執筆中の映画ライター。Twitter:@HinatakaJeF
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