――そう考えると、不特定多数の人が見るSNSに子どもの情報をのせるのはリスクしかないですね。
今西「不特定多数の人だけではなく、保護者や知り合いの中にも小児性愛者はいます。ですので、鍵をかけたアカウントや知り合いしかしかいないメールアプリなどでも注意は必要です。そう考えるとやはりどんな写真であっても、安易に子どもの写真をSNSにあげるべきではないと思います」
――子どもの年齢・性別・状況関係なく、気をつけた方がよいということですね。
今西「保育園やスイミングスクールなど、子どもの写真をネット上で公開しているところもあります。施設側としては仕方のないことなのかもしれませんが、男女年齢関係なく私はそれもやめるべきだと思っています。子どもの性被害のデータによると男性の推定 7.9%、女性の 19.7% が、18 歳になる前に性的虐待に直面したと推定されています。女児と比べて割合は少ないですが男児も当然被害者になります」
――なるほど。
今西「小児性加害者はターゲットとなる子に対しすぐに犯行に及ぶのではなく、公園などで近づき何度も声をかけ信頼関係を築きます。これを『グルーミング』というのですが信頼関係を築いた後で犯行に及ぶので、被害にあった子もそれを大人に告げにくく犯行が繰り返されやすいのです。私たちが思っている以上に小児性加害者は様々な手段で子どもに近づいてきます。親が先回りして子どもを守ってあげてほしいと思います」
幼い子どもを性の対象にしている大人は存在し、その対象が生後2週間の乳児になることもあると知り小児性加害者の異常さを知りました。気軽にUPした子どもの写真や情報がどのように使われるのかは、もはや私たちの想像を超えたところにあります。今西先生の話を聞き、改めて子どもの写真や個人情報の取り扱いは慎重すぎるくらい慎重にする必要があると感じました。
【今西洋介(いまにし・よすうけ)】
新生児科医・小児科医、小児医療ジャーナリスト、一般社団法人チャイルドリテラシー代表理事、漫画やドラマ『コウノドリ』の取材協力。国内複数のNICUで新生児医療を行う傍ら、ヘルスプロモーションの会社を起業し、公衆衛生学の社会人大学院生として母親に関する疫学研究を行う。SNSを駆使し、小児医療・福祉に関する課題を社会問題として社会に提起。一般の方にわかりやすく解説し、小児医療と社会をつなげるミドルマンを目指す。3姉妹の父親。著書に『
新生児科医・小児科医ふらいと先生の 子育て「これってほんと?」答えます』(西東社)がある。
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@doctor_nw
<取材・文/瀧戸詠未>