
写真はイメージです。
伊藤「カリスマ美容師ブームがあったように、以前の美容室は最新のファッション情報を得る場所だったように思います。『20代のOLといえばこの髪型』というように、流行りも年代・性別・職業で分類されていました。ですが、SNSが普及したことでお客様がご自身で好きな髪型やファッションの情報を得る時代になっています。
さらに、年代や性別・職業など関係なく、それぞれの方がしたい髪型やカラーも多岐にわたっています。ですので、こちらがお客様との会話から好みを引き出して最新の髪型を提案したりおもてなしをする時代ではなくなってきていると感じています。それが会話のいらない美容室のニーズにつながっていると思います」
――確かに、年齢・性別・職業関係なく好みが多様化していますもんね。
伊藤「あとは、皆さんどんどんお忙しくなって美容室でも自分の好きなことをして寛いでいたいという方が多いように思います。そんな中で、初対面の美容師の個人的な話を聞きたいか、会話をしたいかというとなかなか難しい気がします。よほど仲がいい美容師でない限り、休みの日何をしているかなんて正直どうでもいいですよね。
僕自身誰とでもけっこう喋るタイプなのですが、そんな僕でもお店屋さんで喋りかけられたり、洋服屋さんで『僕も同じもの持ってますよ』と説明されると返答に困ります。
話好きな僕でさえお店での会話に困るのに、ましてや美容室にいる2時間、髪を触られながら無視できない状況で会話をふられるのは、苦痛に感じる方も多いだろうなと思います」

写真はイメージです。
――そうですよね。
伊藤「一方で会話を楽しみたい、美容師さんと色々話したいというお客様もいると思います。そのため、会話を楽しむお客様と会話をしないお客様が同じ空間に混在しないように、会話のいらない美容室を作りました。どちらのお客様もくつろげるように、ご自身の求めているものに合わせて、会話のいらない美容室ミュートも選んでいただければと思います」
現在、仙台に2店舗ある会話のいらない美容室ミュート。近日中に原宿店もオープン予定とのことです。美容室で自分だけの時間をゆっくり過ごしたいという方は、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
【伊藤博之(いとう・ひろゆき)】
「美容師が長く楽しく活躍できる環境」をコンセプトに原宿、仙台、名取、富谷、多賀城、郡山、山形天童、青森市に14店舗の美容室を展開し経営。
会話のいらない美容室mute(ミュート):
ホームページ
<取材・文/瀧戸詠未>