Lifestyle
Human

80歳の料理研究家、夫の介護しながらお店も経営。パワフルさの秘密って

お店に顔を出すのは週に1回程度

「スタッフを雇い、家庭生活に支障がない範囲でやる」というのが、姪御さんの打開策でした。「世の中には、タケちゃん(吉山さん)のスパイスを欲しがっている人や、まだ知らない人たちがいっぱいいる」と姪御さんの説得が続きます。吉山さんも、吉山さんのご主人もついには折れて、お店作りに着手しました。  現在の吉山さんは、ご主人とふたりの生活を主体にし、お店に顔を出すのは週に1回程度。週に4~5回デイサービスに通うご主人に合わせて、全ての用事を済ませているそうです。

朝食に炊くのは「ターメリックご飯」

朝食に炊くのは「ターメリックご飯」 仕事はペースダウンしましたが、吉山さんの日常にはいつでもスパイスがあります。朝食に炊くのは「ターメリックご飯」、フルーツには「レーズンミックスを加え、シナモンパウダー、ナツメグを振りかける」。ターメリックは認知症にいい効果がのぞめ、シナモンには血行をよくしたり胃腸の働きを良くする効果が、ナツメグには口臭予防や食欲増進の効果があるといわれているのです。  本書を読むと、スパイスが身近に感じられ、もっと探求したくなります。まるで吉山さんの好奇心が伝染してくるよう。吉山さんの加速する情熱は、留まることを知りません。いくつになっても遅くはなく、思い立ったが吉日。情熱に身を任せて行動を起こすことで、必ず実を結ぶのではないでしょうか。吉山さんのチャレンジはスパイス同様、こちらの心もホットにしてくれるのです。 <文/森美樹>
森美樹
1970年生まれ。少女小説を7冊刊行したのち休筆。2013年、「朝凪」(改題「まばたきがスイッチ」)で第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)、『母親病』(新潮社)、『神様たち』(光文社)を上梓。Twitter:@morimikixxx
1
2
3
Cxense Recommend widget
あなたにおすすめ