その後、ヒロキさんは仕事関係で知り合った女性と付き合うことに。その女性はヒロキさんよりも一回り年下で出会った当初は恋愛対象ではなかったそうですが、仕事を通して尊敬できる存在となり、結婚を前提にしたお付き合いに発展しました。
そしてヒロキさんが40歳になる交際1年後に結婚し、その2年後には子どもも授かって幸せに暮らしていました。そんな日々の中、ヒロキさんが暮らすマンションに突然マリさんが訪ねてきたのです。
「その日は日曜日で仕事が休みだったので、家族で自宅にいました。妻が洗い物をしていたので、僕がインターホンのカメラを見てみると、同級生のマリが映っていてビックリしました。『あれ? どうしたの?』と聞くと『直接会って話したい』と言われたので、エントランスを開錠して家まで来てもらうことにしました」

「何か急用だろうか? まさか、同級生の誰かが亡くなった?」などと思い、マリさんを自宅まで招いたヒロキさん。ヒロキさんが玄関を開けた途端、マリさんが差し出したのは婚姻届でした。
「最初は、何の紙なのか把握できませんでした。『え? 何これ?』と戸惑っている僕に、マリは『10年間待ってたの! やっと私たち結婚できるね』と笑顔で言ってきたんです。
何のことかわからずに『え?』と繰り返す僕に、マリは『10年前の同窓会で、10年後に結婚するって言ったじゃない! 忘れたの!?』とさっきの笑顔とは正反対の、すごい剣幕でまくし立ててきました」
やっと事情が飲み込めたヒロキさんは、まさかマリさんが本気にしているとは思ってもみなくて、心底ゾッとしたそうです。そして、あの同窓会で言ったことは冗談であること、そして現在は結婚しているからマリさんとは結婚できないことを伝えました。