米津玄師がつんくの歌詞から引用で「そうだ!We’re ALIVE」を選んだ理由とは
米津玄師とつんく♂。意外過ぎる組み合わせが音楽シーンをにぎわせています。
アニメ『チェンソーマン』(テレビ東京系で10月11日放送開始)の主題歌「KICK BACK」で、モーニング娘。のヒット曲「そうだ!We’re ALIVE」のフレーズを使いたいと米津からの申し出があったのだそう。それは<努力 未来 A BEAUTIFUL STAR>という部分。
このフレーズをどう使うかなど詳細に知らされていなかったものの、「好きなようにやってもらったらいい。最終的に使わなかったらそれはそれ。作品とはそういうものだ」と男っぷりを見せたつんく♂。
「そうだ!We’re ALIVE」をご存知ならばあの歌詞を音楽とともに思い出すことができるでしょう。こぶしを突き上げて歌う振り付けで、あえて一音のメロディにすることでスローガンを叫ぶような効果を生んでいました。
ところが、これを米津は全く違う色に塗り替えてしまった。一語一語のアクセントを因数分解するようにずらすことで、メロディの動きが入り込む余地を作ってみせる。そこに彼のトレードマークである疾走感と悲哀を帯びたマイナーコードが絡(から)むと、<努力 未来 A BEAUTIFUL STAR>が反語的な真実味をもって迫ってくるわけです。
この借用はまぎれもなく音楽を愛する者にしかできない発想であり、つんく♂が「一欠片のひらめき」と称したものは、生活のすべてを音楽に傾けているからこそ降りてくるギフトだと言っていいでしょう。
米津玄師の新曲にモー娘。の歌詞から引用
すると出来上がった曲は、「彼の頭の中にあった一欠片のひらめきはいつの間にか、強力なメッセージとなり、美しい旋律と共に僕の耳の中に入ってきた」と感服するほどに素晴らしい仕上がりだったというのです。(note「つんく♂のプロデューサー視点。」2022年9月19日より)