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松本人志「演技力がないと…」キングオブコント評がすべて/元R-1ファイナリストが解説

コントの進化とともに「漫才との差別化」が強まる

<そして、最も「演劇的」な印象をつけているのは、「よくある漫才のようなボケ・ツッコミではない」ことではないでしょうか? コントは進化を続け、ここ最近は、「漫才との差別化」が強くなっています。 数年前まではコントと漫才の笑いの取り方にそれほど違いはなく、「おかしな人(ボケ)」と「常識人(ツッコミ)」のコントがたくさんありました。しかし、最近の若い芸人さんのコントは「ボケ・ツッコミ」ではなく、それぞれのキャラクターをしっかり演じ、そのやりとりで笑いを取っています。 同時に、漫才の終わり方として定番の「もうええわ」「いい加減にしろ」的な、「決裂」で終わるコントは非常に少なくなりました。今大会で言えば、完全にその形式で終わっていたのは、や団の1本目「よし、バーベキュー始めようか」「もう楽しめない!」くらいで、他は、ロングコートダディの「塚本さんの敗北でいいですか?」がやや近いニュアンスで、最高の人間は爆弾で物理的に決裂しましたが…、といったところでしょうか? 逆に、今大会で、コント中に何組の幸せなカップルが生まれたことか(笑)。ハッピーエンドで終わるのが、完全に流行っていますね。> ――思えばファイナルステージの3ネタ中2本はハッピーエンド(または近いもの)でした。 <また、今年は特に「音響・照明の演出」を効果的に使用している芸人さんが非常に多いと感じました。特に音響は、直接笑いを取るものではなく、これまでだったら演者のリアクションだけで表現していたSEや、場の空気を作るためのBGMなどが使われていました。これは純粋に、作曲ソフトが一般化した、時代の流れに一因があるかもしれません。 これからのコントは、もちろん「演技力」「ストーリー性」もそうですが、同時にそういった「演出力」も、手軽に手に入る分だけ、求められるようになっていくでしょう。もしかしかたら番組からのアドバイスで、演出を追加した芸人さんもいるかもしれませんが。>

東京03飯塚「キスは禁じ手」笑わせやすいと評価が分かれる?!

――パーソナルトレーナーと女性客のネタを披露した、いぬの審査員コメントで、東京03飯塚さんから「やっぱりキスは禁じ手だと思うんですよね」かまいたち山内さんも「起承転結を意識して見るんですけど、起キスキスキスだったんですよ(笑)」というコメントが出ましたが、このあたりをどのようにご覧になりましたか? <「キスは禁じ手」というのは、「面白ければなんでもいいじゃないか」という観点では、やや厳しいように感じる人もいると思います。 私自身、いぬのコントで大笑いしました。ただ、審査するとなったときに、評価が高くなりにくいのではないのでしょうか? サラリーマンや大学生の飲み会で、男性が裸になったり、女装をしたりするのは、是非は置いておいて盛り上がることが往々にしてあります。「男性同士でキスをする」も、そういったことに近いですね。 それはつまり、「笑わせやすい」ということです。 前述の「『オリジナルストーリー』と『何かの踏襲』」の話にも共通しますが、笑わせにくい…、難易度が高いことをやったうえで笑いにつなげた方が、高得点につながりやすいと考えられます。 もちろん、いぬのキスは、演技・キャラクター・構成・運動神経も含めて、プロが作り出した土台の上に成り立ったものです。しかし、審査で優劣をつけなければならないとなったときに、そこが評価の分かれ目になったのではないでしょうか?>
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暗転は「諸刃の剣」
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