理想の家族像は「助け合いながら、でも失礼のないように」
――家族関係のリアルな描写も多々ありましたが、理想の家族像はありますか?
高杉:寂しくなければいいな、くらいの家族観はありますね。難しいですが。血がつながっていても、いなくても、結局は自分とは違う人間なんですよね。そうなると、どこかに超えちゃいけない一線があり、言ってはいけない言葉がある。大事につながりを持っていかなければならないと思います。
助け合いながら、でも失礼のないように。そういう距離感の測り方をちゃんと見つけていくべきかな思います。
――俳優のお仕事についてですが、映画初主演の『カルテット!』の頃と比べて思うことはありますか?
高杉:際限がないものですよね。ずっと初心者みたいな気持ちでやっているんです。前にできていたものが、次の作品で使えるかどうかわからないですし、作品が終わるごとに転職してしまう感じなんです。「忘れちゃった、あの技!」みたいに、前にできていた技術みたいなものが使えなくなったりもする。
――すべてがリセットされてしまう?
高杉:ただ、MPやHPはプラスになっていたりします。経験値は上がるから。そんな気持ちでずっとやっていますね。
※MP=魔力の量、HP=キャラクターの体力(ゲームの用語)
――現場が変わるたびに毎回初心者な感じでは、大変ではないですか?
高杉:そこが面白いところでもあるんです。際限がないから面白い。あと楽しいとツラいは、わりと紙一重みたいなところがあるなと僕は思っています。だから、ちょうどいい塩梅でやっていけているのかなと思うんです。
基本的には楽しいことを仕事の中に見つけないといけないので、だからこそツラいことも乗り越えられるのかなと思います。
――ご自身の10年後、20年後、30年後について、どのように考えていますか?
高杉:30年後の自分はさすがに想像できないですけど、その年齢になってもこの仕事ができていればいいなとは思います。
10年後だと現実的ですよね。僕は10年前、まさか今の仕事を続けているとは思っていなかったので、何が起こるかわからない世界だと思っています。俳優・高杉真宙としての道筋は、ある程度、様子を見ながら考えないといけないなと思っていますけど、具体的にこうする、ということは考えていないですね。
<取材・文/トキタタカシ>
トキタタカシ
映画とディズニーを主に追うライター。「映画生活(現ぴあ映画生活)」初代編集長を経てフリーに。故・水野晴郎氏の反戦娯楽作『シベリア超特急』シリーズに造詣が深い。主な出演作に『シベリア超特急5』(05)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)などがある。現地取材の際、
インスタグラムにて写真レポートを行うことも。