Entertainment

吉沢亮の“水もしたたるいいい男”っぷりがたまらん。月9ドラマ『PICU』で引き立つ魅力

やっぱり、水もしたたるいい男

 吉沢にしろ、安田にしろ、ミーティング場面の直後に登場する老医師・山田透役のイッセー尾形にしろ、芸達者な俳優にとってさえ、重責のある医師役を誠実に演じることは難しいことが、本作をみているとよくわかる。そこで吉沢の場合、身体的な特性(外面)と感情の演技(内面)とのうまいバランスを見いだしているように思う。武四郎がPICUに転属された理由が植野の口から明かされる第1話のラスト、2019年時点の武四郎が水の中に入っていき、自分から顔に水をバシャバシャかけて濡らす姿が切実に映るのだ。  第2話では、水を浴びる吉沢の姿がより強調されている。武四郎は、幼馴染みたちとかに鍋を囲み、母・志子田南(大竹しのぶ)から愛情深く励まされ、しゃきっと気持ちを入れ替えようと、洗面台に向かって顔を洗う。水もしたたる吉沢亮。と、つい呟きたくなるのは、吉沢亮の代名詞は、水もしたたるいい男であり、逆に水もしたたるいい男は吉沢亮のみを意味しているからだ。  次に運ばれてきた小児患者は、火傷を負った姉弟だったが、幼い姉との交流を通じて武四郎は、命と向き合いながらも大きな失敗をしてしまう。深く落ち込んだ武四郎が、浴槽で前かがみになって顔をお湯につける。画面には彼の背中しか映らない。吉沢の真っ白な背中を俯瞰する画面をみて、何だか不思議な時間が流れる。武四郎がそこから立ち直れるのか、どうかはあまり問題ではない。ただ、その背中が訴えてくるもの。この洗い上げられた美しい白さをみて、ああ、やっぱり吉沢亮は、水もしたたるいい男なんだと思わず納得するのだ。 <文/加賀谷健>
加賀谷健
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修 俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu
1
2
3
Cxense Recommend widget
あなたにおすすめ